さて、今日からは薬物動態学Ⅱ(薬物速度論)の要点チェックに入ります。ゆっくり霊夢の1分動画1回で速度論の総復習は不可能なので、重要項目ごとに4回ぐらいに分けて要点チェックをやっていきます。最初は「数理モデルの変遷」ということで、計算問題ではなく「文章題」対策になります。コンパートメントモデルから始まって、いろいろな「モデル」が出てきますが、概論的にそれらの大枠をつかむことが重要です。まずは、YouTubeショートの霊夢の「ゆっくり解説」を聞いてから、下の「関連重要要点スライド」を参考に、頭の中で自分の知識を整理してみましょう。以下の<突っ込んだ解説>でもお話ししているところですが、今日の内容は、仮に内容がよくわからなくても予備校の参考書を丸暗記した方が、国試本番では点が取れるかもしれません。今の時期は「学問の理解」というよりは、「試験に受かるためのテクニック」を最大限発揮することです。いたし方ありませんが、こういう勉強法も、たまには受け入れることも必要になるのです。

なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライド、および以下の<突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。)
<突っ込んだ解説>
さすがに、博麗神社の巫女さんをしている「ゆっくり霊夢」をもってしても、速度論全範囲を1分の動画のなかに、10項目だけの重要要点としてまとめることはできないので、3, 4回(?)ぐらいに分けて「重要要点チェック」でアップしていこうと思います。あんまり長くやっていると、本当に国試の本番に直前になってしまうので、3, 4回ぐらいにまとめるのがよろしいか?と考えています。
最初は「数理モデルの変遷」という要点を3つにまとめました。3つの個々の分野が「計算問題」で出題されることはありませんが、文章題で時々出てくるのですね。好きな先生がいるんでしょう。特にモーメント解析とか、母集団薬物動態解析がお得意な先生なんでしょうね。国試とは関係がない与太話になりますが、この分野は真剣に勉強しようと思ったら、数学の確率・統計・線形代数などの「頭が痛くなうような」教科書を読みこまなければなりません。しかし、製薬会社の動態研究所なんかでは日常的に使っている分野です。「研究課題」としては面白いかもしれませんが、「国家試験」には難しすぎると思います。でも出したい先生がいるわけで、じゃあどうするか?というと、妥協して「まあ、どういうものかを知っていればいいですよ」というレベルの出題になるわけです。従って、「国試で点を取ろうと思ったら」予備校の参考書にある当該分野を暗記するのが、もっとも手っ取り早い方法になります。魔理沙の中のヒトの弊社CEOも、時折そういうたぐいの参考書を見ますが、「これ、学生さんは言っている意味が分からないだろうな?」という程度の解説しか書いてありません。しかし、そこは「点を取るため」と割り切って、「こういうもんなんだ」と深く考えずに暗記してしまいましょう。
本論の「数理モデル」の話に入りますが、何といっても「線形1-コンパートメントモデル」が王道です。横軸に時間、縦軸に血中薬物濃度を片対数でプロットすれは、右下がりの直線が出てきて、その傾きから消失速度定数(ke)が求まり、あとは、その表裏一体の関係である消失半減期(t1/2)、初期薬物濃度から分布容積(Vd)を求めるという、「定番」の流れの計算問題です。ところが、線形2-コンでは、同様なプロットを行っても右下がりの直線が得られず、下に凸の曲線になるという点が要注意ですね。最初の「ガクッと下がる曲線」が「分布相」を表し、時間が経って緩やかに下がる曲線部分が「消失相」を表しているということも、チェックしておきましょう。
さて、昔の一時代は「コンパートメントモデルの全盛期」のような時もあったのですが、例えば線形2-コンのように、「末梢コンパートメント」って、具体的にどの臓器・組織なの?という疑問が生まれてきました。つまり、「コンパートメントモデルは、実際の薬物動態を簡単に端折りすぎていないか?」ということです。そういう疑問と「クリアランス」の概念が合体し、生理学的モデルが作られました。解説スライドにあるように、体内の各臓器クリアランスと臓器血流をもとに、薬物の体内動態を考えようとするモデルです。もとになる数学には(そんなに難しくはない)微分方程式が使われますが、当然のことながら、薬剤師国家試験に「計算問題」として出題されることはありません。なので、「生理学的モデルはコンパートメントモデルから発展したモデルで、臓器クリアランスの考え方を使っているんだ」という理解をしておけば十分です。
3番目は「確率・統計」を使って、薬物の体内動態を記述しようという考え方です。具体的には「母集団薬物動態解析」と「モーメント解析」というものです。これらも、はっきり言って「結構難しい確率・統計」が登場しますが、困ったことに、こういう分野が好きな先生が試験委員にいて、時々文章題として出てくるのです。「じゃあ、何をどう勉強するのか?」ということですが、これも国試直前の対策としては、「予備校の参考書にある当該分野」を「なんか、よくわからんけど、こういうものなんだ」という「割り切り」で暗記するのが王道です。なかには「気になって夜眠れないから、具体的な教科書を教えてくれ」という人もいるかもしれませんが、「今の時期に」そういう考えを持つのは非常に危険です。ただ、「どうしても勉強したい」という人は、「国試が終わってから」弊社CEOが編集した教科書「徹底解説 薬物動態の数学 -微積分と対数・非線形-第二版」(廣川書店 平成25年)を購入して読んでください。宣伝になってしまって恐縮です。あとは、「(コンパートメントモデルのように)数理モデルを使って解析する、モデル依存的解析法」と、モデルを使わない「モデル非依存的解析法」があるということも、解説スライドにある例を覚えておけば十分です。
明日は、線形1-コン急速静注と尿中排泄、点滴投与あたりの解析をアップできれば、と思っています。