(番外)109回国試験直前最重要要点チェック(薬物速度論④・急速静注繰り返し投与)


速度論番外編の最後は、急速静注繰り返し投与の要点チェックです。まずは、いつものようにYouTubeショートの霊夢の「ゆっくり解説」を聞いてから、下の「関連重要要点スライド」を参考に、頭の中で自分の知識を整理してみましょう。経口繰り返し投与は割愛します。これが計算問題で国試問題に出ることは、ちょっとないんじゃないかな?って思います。理由は<突っ込んだ解説>を読んでくださいな。ではみなさん、泣いても笑ってもあと10日です。体調を万全にして本番に臨んでください。ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が応援しています。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライド、および、以下の<突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。)

<突っ込んだ解説>

急速静注繰り返し投与ということですが、臨床に基づいたイメージとしては、「一日3回8時間おきに、腕の静脈にぶっとい静脈注射をやられる」ということになり、はっきり言ってあまり聞いたことがない注射ですよね。それよりかは、「1日3回、朝・昼・晩に1回2錠の風邪薬を向こう5日間服用する」という、「経口繰り返し投与」の方がはるかに現実味があってイメージしやすいのに、なんでこんな現実離れしたことを勉強しなければならないのか?不思議に思うと思います。実は「経口繰り返し投与」では、出てくる式が複雑で、受験生がそれらの式を覚えていることを前提として国家試験の「計算問題」を作るのが困難だからなのです。なので、解説スライドの2枚目の終わりのところにも書きましたが、「文章題」として経口繰り返し投与の特徴を聞く問題は作れますが、計算問題は出ない(?)と思ってよいのではないかと思いますよ。現に101回問271の複合問題では、問題文の冒頭に「・・・経口投与を行った・・・」と書いておきながら、但し書きの部分で「・・・本剤の吸収は速やかであり、吸収に係る時間は無視できるものとする・・・」などといういい加減な「但し書き」が書いてあるのです。「吸収が無視できる経口投与ってなんじゃ?」となるところです。つまり「経口繰り返し投与ということで問題を出しますが、計算が難しいから急速静注繰り返し投与で解いてくださいね」ということなのですね。まあね、いろいろ言うのはやめにしますが、こういう問題っていかがなものでしょうかね?

さて、急速静注繰り返し投与ですが、「いったん急速静注を行い、体の中に入った薬物が完全に消失する前に、また同じ量の急速静注を繰り返す」ことをやるので、体の中に薬物は蓄積されていきます。それを繰り返しますが、いずれは「定常状態」になり、「ぎざぎざ」の曲線が一定の濃度幅で上下を繰り返すようになります。この時の最高血中濃度((Css)max)と最低血中濃度((Css)min)の値は、解説スライドの(式1)と(式2)にあるので覚えましょう。実務との複合問題では、この最高血中濃度と最低血中濃度を「ピーク値」、「トラフ値」というのは常識ですよ。

この投与法は「繰り返し投与」ということで、投与間隔(τ)が必然的に重要になってきます。国試で出てくるのは、解説スライド2.③にある「投与間隔(τ)が、この薬物の消失半減期(t1/2)と等しいとき、定常状態における最高血中濃度(ピーク値)は、最低血中濃度(トラフ値)の2倍である」という事実(計算方法は割愛します)をもとにした計算問題、もしくは文章題です。これは「肝(きも)」になる重要事項ですから是非頭に叩き込んでおいてください。

次は、AUCですが、これは「薬物投与から。薬が全部抜けきるまでの時間の間のぎざぎざの面積」ではなく、定常状態において、投与間隔(τ)の間に挟まれた台形っぽい部分の面積です。これも計算は割愛しますが、そのAUCは、「同じ薬物を単回こっきり急速静注した時に描かれる曲線のAUCと等しい」という性質があります。これは解説スライドの(式5)です。これをもとに、解説スライド4.にあるような「投与設計時に必要になる投与間隔(τ)、初期薬物投与量(X0)が、(式6)、(式7)の形で誘導されてきます。この関係も覚えてください。

さて、急速静注繰り返し投与では独特のパラメーターとして、蓄積率(R)が定義されています。それを使った国試頻出事項で、「投与間隔(τ)がその薬物の消失半減期と等しいなら、蓄積率(R)は2となる」ということが計算から求められますが(計算方法は割愛します)、これも覚えてください。知っていることを前提として計算問題が組まれます。

あとは、6.にある初回負荷量(XL)、維持投与量(XM)、蓄積率(R)の3者間に成り立つ関係ですね。よろしいでしょうか?

さて、こんな感じで1週間かけて、薬物動態学Ⅰ(ADME)と薬物動態学Ⅱ(薬物速度論)の109回国試直前チェックをやってきました。理想的なのは、ゆっくり霊夢の1分間解説を聞いてから弊社HPの「CEOのブログ」と「新着情報」にある<突っ込んだ解説>を読んでいただき、「あ、ここは頭の中に入っているから大丈夫だ」という感想をもってもらうことです。万万々一「うっそ~、そんなこと知らなかった!」というところがあったら、すぐに「自分が今まで使っていた教材」に戻ってあやふやな知識を確実なものにしてください。

というわけで、あと本番まで10日です。体調を整え、起床時間を朝方に戻し、自信をもって試験に臨んでください。なお、一日おきに投稿している国家試験各回のゆっくり問題解説は、引き続き続いていきます。


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