本日のゆっくり国試必須問題解説(YouTubeショート・231017)


107回問46はイヌリンの尿中排泄に関するグラフの問題です。薬物の尿中排泄機構は、糸球体ろ過、近位尿細管分泌、遠位尿細管再吸収がありますが、イヌリンは糸球体ろ過だけを受ける薬物ですね。これは基本中の基本です。さて、糸球体ろ過をいうのは、動画の中で霊夢が言っているように、ざっくり言えば「ざる」みたいなものです。つまり、血中のイヌリン濃度が増えれば、その増加がそのまま尿細管につながる集合管への「イヌリンの排泄速度」になるわけです。この「イヌリンの尿中排泄」は、物理的な「ろ過」だけで起こり、トランスポーターのような「輸送担体」の介在はありません。従って、グラフの横軸にイヌリンの血中薬物濃度、縦軸にイヌリンの「尿中排泄速度」をとってグラフを描くと、原点を通る右上がりの直線(正の線形性グラフ)になるはずです。この観点から、選択肢2と5はありえません(つまり、トランスポーターの介在を示す非線形のグラフになっている)。選択肢1は全くのナンセンス設問です。選択肢3を選んだ受験生が多かったと思いますし、予備校の自己採点データもそれを示していますが、縦軸の「次元」が「イヌリンの腎クリアランス」となっているならよいのですが、違いますね。多分初出が86回の問159で、それ以降も繰り返し出題されるグラフ問題で、横軸に血中薬物濃度、縦軸のその薬物の「腎クリアランス」をとった時に、イヌリン、パラアミノ馬尿酸、グルコースはどのような挙動を示すか?という問題があって、この場合には、イヌリンは、この選択肢3のような「横一直線」のグラフになります。グラフの横軸・縦軸の「次元」を見ないで「あっ!このグラフだったら、イヌリンは横一直線だったよな!」って3番に〇をつけてしまうと、出題者の思うつぼですね。「動態で出てくるグラフでは、横軸・縦軸の「次元」に気を付けよう」というのが、この問題から得られる「教訓」なのです。

なお「ゆっくり霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。


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