107回問47の「突っ込んだ解説」です。
この問題も、そういっちゃ元も子もないけど、選択肢がスマートじゃないですね。薬物併用によって、主薬(この問題ではキニジン)の血中濃度が上がる原因を聞いています。
選択肢1は「消化管吸収が阻害されるから」ということですが、消化管からの吸収が阻害されて、血中薬物濃度が上がるはずはありません。だから×。
2番の肝代謝酵素の阻害ですが、代謝酵素が働かなくなると、血中薬物濃度は当然上昇します。となると、2番は正解の候補になり得ます。
3番は胆汁排泄の促進ということですが、胆汁排泄は読んで字のごとく、薬物が胆汁から排出されることです。だから、これで血中薬物濃度が増えるはずはありません。明らかに×。
4番は尿細管分泌の促進とあります。尿細管分泌は血中の薬物が尿細管に能動的に分泌されることだから、薬物濃度は減るはずです。だから×。
5番には、「尿細管再吸収が促進される」とあります。尿細管再吸収は、尿細管中、つまりおしっこの中にある薬物が、血中に再吸収されることです。よって、尿細管再吸収により血中キニジン濃度は上昇するはずです。
なので、正解の候補は2と5ですが、ここで問題文を読み直してみると、「炭酸水素ナトリウムの併用によって」とあるのに気が付きます。キニジンは塩基性のお薬です。まり、炭酸水素ナトリウムという、尿のpHをアルカリ側に持っていくお薬の併用によって、キニジンの分子形態はどうなるかを考えよう、ということが要求されているわけです。
塩基性環境下は塩基性薬物はイオン化せず、分子形のままですね。分子形ということは、pH分配仮説により、細胞膜を透過しやすいということですから、キニジンは尿細管の中でイオン化せずに分子形のままでいる割合が多いわけです。そうすると尿細管再吸収を受けて、尿中から血液の中に移行しやすくなり、キニジンの血中濃度が上昇する、という理屈です。よって、5が正解。わかったかな?
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