この問題のキーワードは「活性代謝物」です。答えは「1」ですが、それ以外の選択肢では、薬物Bは薬物Aの活性代謝物になっていますね。選択肢1番の「薬物B」は、薬理活性を持たない「ただの代謝物」です。
<(107回問44)の派生ゆっくり創作理論問題、の突っ込んだ解説>
薬物代謝酵素に係る問題は、国家試験では3つくらいの出題のされ方があると思います。1つ目は、元ネタの107回問44のような、(また、この派生ゆっくり創作理論問題のような)「完全暗記もんで」、「覚えていなかったら、いくら考えても完全にお手上げ」というような出題です。
2つ目は、いわゆる「薬理遺伝学」と言われている分野との関連をネタに出題されるもので、SNPs(一塩基多型)や、酵素の誘導・阻害などから出題されるものです。この「酵素の発現誘導」は、物・化・生の生物の中の、分子生物学の中の「遺伝子の発現制御」にも関係しますが、要は、「薬物代謝酵素」を「薬物代謝という機能の面」からとらえるか、酵素もタンパク質なので、「タンパク質としての発現・制御から」とらえるか、という違いがあるだけで、本質には変わりはありません。
3番目は「酵素反応速度論」という、皆さんが大好きな「ミカエリス・メンテン式」が出てくる、いわゆる「計算問題」です。これは、薬物動態の非線形速度論にも関係していて、みなさん、あまりお得意ではないみたいですね。
このような、「国試で出題される」分野があるのですが、この頃の国試問題を見てみると、圧倒的に「暗記もん」領域が多くなっているような気がします。よいのか、わるいのか、弊社CEOにはわかりませんが、まあ、批判を恐れずにいうなら、よくない傾向か、と思います。というのは、皆さんご存じのように「生成AI」が普及すれば(現に、マイクロソフトのBeingは、スマホでも使えます)、こういう「暗記もん」は、機械にとって変わられるでしょう。それよりも、「考える能力」を試す試験を課すべきだと思います。
ただ、唯一ともいえる「よい傾向」があって、それが構造式を伴った出題が増えている点です。カタカナで「イソニアジド」と書くよりは、構造式でイソニアジドが示される方が、問題としては「良問」だと思います。しかし、学生さんは大変ですが・・・
構造式は、描けるに越したことはありませんが、やはり、国試問題に出てくるような「有名なお薬」については、「見てわかるように」なっていたいものです。そのためには、スマホに構想式を取り込んで、電車の中など「空き時間」に、それを、「ぼやっとでもいいから」眺める癖をつけることだと思います。
頑張って、勉強していきましょう。