本日の「国試107回問46必須問題派生」ゆっくり創作理論問題「解説」(YouTube・231115)


腎排泄過程では「定番」ともいえる問題だと思います。昔から繰り返し出題されているので、ある程度は「覚えてしまっている」受験生がいるかもしれませんが、横の直線で示されるイヌリンクリアランスに尿細管分泌、尿細管再吸収のカーブが「なぜ、漸近してくるのか」の理解が重要です。

なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

<(107回問46)の派生ゆっくり創作理論問題、の突っ込んだ解説>

まず抑えておかなければいけないこととして、ほとんど全ての薬物(ここでは、グルコースやアミノ酸なども、「薬物」という言葉の範疇に入れます)は、程度の差こそあれ、糸球体ろ過、近位尿細管分泌、近位(遠位)尿細管再吸収の、3つの過程を経て尿中排泄されるということを押さえましょう。

その中でも、イヌリンは糸球体ろ過しか受けないので、イヌリンの血中薬物濃度を横軸に、イヌリンの腎クリアランスを縦軸にとってプロットして作られるグラフ(図中の点線)は、糸球体クリアランス、すなわち、糸球体ろ過速度を表しているのです。

グルコースは、分子量が180の低分子化合物なので、容易に糸球体ろ過を受けます。しかし、体にとっては重要なエネルギー源ですから、糸球体ろ過によって、血液から尿中にどんどん出て行っては困るわけです。それで、人体は「近位尿細管再吸収」というメカニズムを使って、尿中から血中へグルコースを「再吸収」しています。ちなみに、この再吸収には、SGLT-2というトランスポーターが使われます。しかし、トランスポーターによる輸送には「飽和現象・頭打ち現象」があることを思い出しましょう。つまり、血中のグルコース濃度が大きくなると(横軸の右の領域では)、グルコースの尿中から血中に向けた再吸収は「飽和・頭打ち」になります。つまり、グルコースが腎臓から尿中に「抜けていく(排出される)」程度は、「大きくなる」ということになります。

腎クリアランスというのは、薬物が腎臓から「抜けていく(排出される)」度合を表しますから、血中グルコース濃度が大きくなると、腎クリアランスは大きくなることになります。しかし、冒頭で説明したように、グルコースは、糸球体ろ過と近位尿細管再吸収の2つの過程を経て、尿中排泄されるということを思い出しましょう。つまり、SGLT-2の飽和によって再吸収過程が事実上止まってしまっても、糸球体ろ過過程は動いているわけですから、グルコースの排出に係るグラフ(図中の実線)は、点線で表されたイヌリンのクリアランスを表す、糸球体ろ過クリアランスに「漸近する」ということになるわけです。

わかったかな?


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