YouTubeショートで使った問題文スライドは以下です。

なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
<この問題の突っ込んだ解説>
解説の中で魔理沙もぼやいていましたが、この問題を出題した先生は、アポトーシスのことを聞きたかったのか、ホスファチジルセリンの構造式を知っているかを試したかったのか、それとも、ご自分の知識を受験生にご披露したかったのか?何を考えているのか、よくわからん問題です。魔理沙の中のヒトの弊社CEOがもしこの問題を出すなら、「アポトーシスが起こった時に、細胞表面に露出してマクロファージによる貪食の標的になり脂質はどれか。1つ選べ。」として、選択肢の2~5までの構造式を書き、1は、他の直鎖状の脂質か何かを構造を入れますね。ただ、これだと必須問題としては、ちょっと難しくなってしまうかもしれません。必須問題として出すには、「細胞を構成する脂質として重要なホスファチジルセリンの構造はどれか。1つ選べ。」とするでしょう。「アポトーシス云々」は、問題を解くにあたって直接関係しない文言で、こういうのを「ただのお話し文」といい、試験問題の作問時には忌み嫌われるのです。まあ、そういう「中の事情」はともかく・・・
せっかく「アポトーシス」のことを言っているので、すこしその方面の解説をすると、アポトーシスが「プログラム化された細胞死」であるのは皆さんよく知っていると思いますので、そこは飛ばします。「アポトーシス」と「細胞膜」の関係に着目すると、細胞膜を構成する脂質のうち、正常な状態では、細胞膜の外側にホスファチジルコリンや、スフィンゴミエリンなどが存在し、細胞膜の内側に、ホスファチジルセリンやホスファチジルエタノールアミンなどが存在しています。これが「健康な状態の細胞膜」です。
ところが、ひとたび「プログラム化された細胞死(アポトーシス)」が起こると、細胞化膜の「ひっくり返り」(flip-flop)が起こり、ちょうど「皮がめくれる」ように、細胞膜の内側の脂質が外側に出てきます。ちなみに、「flip-flop」は、動態Ⅱの経口投与のところでも、同じ言葉が出てきますが、わかりますか?徐放性製剤の場合は、通常の経口投与製剤に比べて、吸収速度定数が対数グラフでは入れ替わってしまうことを言いましたね!大丈夫かな?
話がそれましたが、このようなアポトーシス細胞特有の細胞膜のひっくり返り(反転)現象は、flip-flopaseという酵素によって行われることもわかっています。他にもcaspase(キャスパーゼ)という一連のタンパク質分解酵素群が、アポトーシスに深く関わっていることも、自分で確認しておきましょう。
あと自分で必要となるチャックは、「脂質の構造式」の確認くらいかな?ということですね。この問題も、「「構造式が何を表しているか?」を「見てわかるようにする」ことが大事だよ」、と教えてくれている問題です。その意味では、選択肢1はコレステロールの構造ですが、直鎖上ではない構造式を入れておいて、「これは間違いですから、選ばないでね!」と言っているようなもので、「なんだかなぁ~」っていう、ため息が出ちゃうような問題でした。
わかったかな?