YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


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<この問題の突っ込んだ解説>
理論問題としても、あえて言えば選択肢5番でちょっと考えるかな?というくらいで、難しくはない問題だと思います。順番に見ていきましょう。
選択肢1ですが、まあ「共有結合」と思っている人はいないんじゃないかな?原子や分子のレベルの話ではなくて(薬物「分子」とか、タンパク質「分子」という言い方をしますが)、薬物分子とタンパク質分子との結合は、水素結合とかファンデルワールス結合、疎水結合なんかですよね。基本中の基本だと思います。
選択肢2は、これは「知っていないと話にならない」問題で、正解は「アルブミン」です。血漿総タンパク質に占める割合は、教科書によっても値が少し変わったりしますが、6割弱です。その次が「グロブリン」で、グロブリンは、α、β、γの3種類がありますが、順番に6%程度、12%程度、18%程度を占めます。分布過程では薬物-タンパク質結合の問題として、「血漿タンパク質」には、アルブミンとこの次の選択肢に出ているα1-酸性糖タンパク質の2つしか出てきませんね。なぜこの2つか?といったら、アルブミンは酸性薬物を結合して、最大の存在割合を示すから。一方α1の方は、「存在割合は0.2%と一番低いものの、塩基性薬物(リドカインや、プロプラノロールなど)と結合するから、です。
選択肢3は、上の説明にもあるように、α1-酸性糖タンパク質が結合するのは「塩基性薬物」です。「酸性糖タンパク質」なんだから、くっつくのは「塩基性薬物」ですよね。直感的にわかる問題です。
選択肢4番は、問題文の前半「血漿アルブミン濃度は肝硬変で低下し・・・」が「正文」で重要です。アルブミンは肝臓で作られるのですね。だから肝硬変などの重篤な肝疾患では、血中アルブミン量は低下します。アルブミンは血中に存在している薬物をつなぎとめておいて、「非結合形薬物の量を一定に保つ」働きがあるわけです。そのアルブミンの量が少なくなれば、今までアルブミンにつなぎ留められていた薬物(結合形薬物)は、「非結合形薬物」として血液中に「解き放たれてしまう」わけになります。なので、4番は正解です。
5番は、「併用薬により血漿タンパク質結合の競合的阻害を・・・」とあります。アルブミン上には3つの薬物の結合サイトがあるのは、確か107回の必須問題の中にも出てきたし、いろいろなところで出てきますよね。この結合サイトに対する結合が、「同じ結合サイトに結合する併用薬によって阻害と受けると・・・」というのが、問題文の意味になります。そうすると、結合サイトに結合するはずであった(もしくは、先に結合していた)薬物は、血液中に「非結合形薬物」として「彷徨い出す」しか方法はなく、それらの薬物は、今度は「組織タンパク質との結合」に「安住の地を見出す」ということになります。よって「組織への分布量は増加する」のです。
わかったかな?