YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドは、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。)
<この問題の突っ込んだ解説>
さて、p-アミノ馬尿酸、サリチル酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、グルコース、ゲンタマイシン、メトホルミンというお薬が出てきましたが、全部どういうお薬か言えますか?薬理作用の他にも、薬物動態では、腎排泄型か肝代謝型か、をはじめとして、例えば、選択肢4のゲンタマイシンでは、「このお薬は肝代謝を受けずに、未変化体が糸球体ろ過で排泄される」なんでいうことも「覚えて」おかないとならないのは、大変ですよね。ま、だけど、このように国家試験に出るので、やるしかありません。弊社CEOが常々考えることですが(余談です)、現在はChat GPTのような「生成AI」が非常に普及してきているので、このような「暗記もん」は意味がなくなってきます。暗記ではなく「考える力」を養わなければ、やっていけなくなるでしょう。その「考える力」さえ、これからAIや量子コンピューターが進化することによって、機械にとって代わられるかもしれません。薬剤師国家試験の試験委員を務められている「仰ぎ見るように偉ぁ~~~い」先生方も、このように、薬剤師の将来を見据えて「暗記もん」ではない、「考える力」を試す出題をお願いしたいところです。
さて、前置きが長くなりました。
選択肢1は、p-アミノ馬尿酸が糸球体ろ過と尿細管分泌の両方によって排泄される薬物であることを知っていなければ答えられない問題ですが、国試の過去問をやっている受験生には簡単な問題ですね。答えは×です。ちなみに選択肢に「・・・血中濃度に比例する。」とありますが、このような表現が使われると、途端に訳が分からなくなる学生さんがいます。「クリアランスが血中濃度に比例する。」とは、「血中濃度が大きくなると、その薬物はどんどん尿中に排出される」ということを表します。つまり「ざる」になっていて、尿細管分泌や尿細管再吸収を受けない、ということですから、「糸球体ろ過のみを受ける薬物」ということになり、p-アミノ馬尿酸は違いますよね。この「・・・比例する・・・」という表現は、計算問題ですが、106回問173にも同じ表現が使われています。
2番に出てくるアスコルビン酸はビタミンCで「酸性物質」です。サリチル酸も弱酸性物質ですが、この腎クリアランスが、アスコルビン酸という酸性物質の共存によりどうなるのですか?ということを聞いている問題です。もう一つ知っていなければならないことは、サリチル酸は「尿細管再吸収を受ける薬物だ」ということです。ここまで来て「あ、これはpH分配仮説のことを言っていて、尿中から血中への再吸収で、毛管内皮細胞の細胞膜(脂質二重膜)を透過するのは分子形薬物なんだから、pHと分子形分率のpHプロファイルのシグモイドグラフのことを聞いているんだな」と、頭の中に思い浮かべてほしいところです。答えは「酸性物質の共存により、サリチル酸は分子形薬物が増え、その分尿細管からの再吸収が増加するため、腎クリアランスは低下する。」ということになり、×です。
選択肢3は、解説スライドにも書きましたが、逆説的に考えれば、もしグルコールが尿中にどんどん出てしまったら、これは糖尿病ですよね。体はグルコースというエネルギーを確保できなくなります。よって、×。
4番は、ゲンタマイシンが腎排泄型の薬物であって、投与量のほとんどが未変化体として糸球体ろ過を受けということを知っていなければ解答できません。同じく5番も、メトホルミン(ビグアナイド系糖尿病治療薬)が糸球体ろ過+尿細管分泌の薬であることを知っていないと、その腎クリアランスがクレアチニンクリアランス(糸球体ろ過のみ)より大きいか小さいかを答えることはできません。ということで、試験委員の先生方、いい加減「暗記もん」を出すのは、やめにしましょうや。
わかったかな?