YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
YouTubeショート動画の解説スライドは、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
おや、ずいぶんとスタチンがお好きな先生が出題された問題でのようですね。高脂血症治療薬のような「基本8疾患」の代表ともいえるようなポピュラーかつ重要なお薬は、しっかり覚えておかなければいけません。特にプラバスタチンはHMG-CoA阻害薬という分類に属する、「コレステロール生合成を押さえる」お薬です。となると、①コレステロール生合成経路が自分の頭の中に入っているか?②出発物質は何か?(アセチルCoAですね)、③HMG-CoAとは、コレステロール合成経路(メバロン酸経路という、これまた重要な名前がついています)のどこに出てくる物質か?④コレステロールには、いわゆる「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール、それに「トリグリセリド」があるが、このうちのどれが減ってくるのか?など、ちょっと考え付いただけでも、自分で確認しておかなければいけない事柄が、いろいろと出てきます。この文章を読んだ皆さんは、「時間をおかずに」すぐ薬理の教科書を開いて、自分で頭の中を整理しておきましょう。
ということなのですが、魔理沙の中のヒトである弊社CEOに言わせていただくと、この問171は「薬理の問題」ですね。確かに排泄経路となると動態の領域ではありますが、ちょっと「細かすぎ」ます。「知っているのに越したことはないけど、こういうのを国家試験にだすかぁ~?」と、正直思います。例えば、選択肢5は間違いで、血液から肝細胞にプラバスタチンと取り込むのは「有機アニオントランスポーター」ですが、これは選択肢4のシクロスポリンにより阻害を受けます。なので、血中プラバスタチン濃度は、肝臓への移行がシクロスポリンのトランスポーター阻害によってできなくなる分、実際増加してくるわけです。このように選択肢4は比較的良問だと思いますが、それにしても細かいです。
細かいと言えば、選択肢2のMRP2という「protein」ですが、これは細かい教科書鵜や参考書には出てくるかと思いますが、P-糖タンパク質の「御親戚筋」にあたる排泄型トランスポーターです。P-糖タンパク質は、遺伝子レベルの名前が「MDR-1」といいます。Multidrug Resistance Proetein-1という英語名からもわかると思いますが、MRP2の最初の「multidrug resistance」がかぶっているでしょう?なので、「御親戚筋」にあたる排出型トランスポーターになるわけです。これも「細かいなぁ~」と思いますね。
選択肢1ですが、「・・・代謝を受けやすい。」という部分が間違いで、正確に言えば「代謝を受けないわけではないが、腎排出型の薬物に分類されるように、腎排泄が主たる排泄経路である」ということですね。日本語の解釈の話になってしまいますが、「びみょう~」ですよね。「まあ、他の選択肢に正解が二つあるので、選択肢1は×をいうことでいいんじゃないですかねぇ~?」なんていう会話が出題問題検討委員会で出てきたんじゃないですかね。
3番は、苦し紛れに入れ込んだナンセンス選択肢です。
ま、というようなことですが、試験委員の偉い先生方「プラバスタチン」についての問題を入れよう、としたことは間違えてはいないし賛成できますが、選択肢4と5を中心に練り直せば、もっと質の高い問題が作れたのではないかと思いました。ということで、正解は2番と4番です。
わかったかな?