本日の「ゆっくり国試(理論)問題(107回問172)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:231229)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。

なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

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<この問題の突っ込んだ解説>

肝細胞からのP450の抽出法の問題です。「肝細胞からのP450抽出法・・・」と言っていますが、実は組織・臓器・細胞からの酵素抽出における極(ごく)一般的な方法を聞かれている問題で、物・化・生の「生物」でも、「遠心分離を使った酵素の抽出法」として出題される可能性は十分にあります。この問題は。「流れ図」みたいな図を用意してきて、一見「仰々しい問題」に見えますが、それは完全に「こけおどし」なのです。なぜかって?必須問題で「肝細胞を遠心分離して得られる画分のうち、P450が存在するのはどの画分か。1つ選べ。①、600 g, 10分遠心分離後の沈査 ②、9,000 g 20分遠心後の沈査・・・」としても、十分に問題として成り立ちます。要は、(ここ大事!)「肝細胞を、遠心分離機を用いて行う一般的な酵素精製法で生成した時、P450はどの画分に存在するか?」という「暗記もん」の問題というわけです。よろしいですかね?

となると、毎度おなじみの「魔理沙の中のヒト」である弊社CEOがブチ切れてしまうのですが、「薬物代謝で重要な(国試で聞かれるような)酵素の存在部位は、きちんと覚えておかなければ話にならない」ということです。つまり「知らなければ、いくら考えてみてもわからない」問題です。

ということで、P450と他にグルクロン酸転移酵素などは、15,000 g、60分の「超遠心分離」を行ったその「沈査」に回収されます。この画分は、別名「ミクロソーム画分」とも呼ばれ(別名というより、こちらの方が一般的な呼び方)ます。覚えてください。ただ、注意していただきたいのは、細胞内小器官して「ミクロソーム」なるものは存在しません。この画分の実体は、精製の途中で壊れてしまった小胞体やリポソームの「膜のベジクル」です。よろしいでしょうか?

あとはちょっとしたうんちくですが、問題文の「流れ図」の中に出てくる「遠心分離」と「超遠心分離」の区別が付きますか?重力加速度(g)の桁が違うので「すごい遠心分離だ」ということはわかるかと思いますが、皆さんが生物の学生実習で使ったような、いわゆる普通の遠心分離機では分離できないような、(問題文の中に出てくる小胞体のような)沈降係数(S:ズメトベリ値)が小さい実体を「超高速」で遠心すると、空気との摩擦熱が生じてくるので、遠心分離機の回転部分のチャンバーを真空にする必要があります。なので、大掛かりな装置になり、学生実習で使う一般的な遠心分離機の100倍くらいのお値段になります。こんな機械をつかって「超遠心分離」をおこなうのです。

ということで、答えは3番、P450は超遠心後の沈査に含まれます。

わかったかな?


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