本日の「ゆっくり国試(理論)問題(106回問172)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240130)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライド、および、以下の<この問題の突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

出だしが「以下の薬物のうち、・・・」となっているが、本当は「以下の化学構造を持つ薬物のうち、・・・」にすべきだと思うんだけど、出題問題の編集会議で試験委員は誰もそういうことを言い出さなかったのかな?って、魔理沙の中のヒトの弊社CEOは思いました。「そんな細かいこと、どうでもいいんじゃない?」っていう意見もあるかもしれないが、仮にも「国家試験」なんだから、ちゃんとした日本語使って問題を作るという「気概」を見せてほしいものだな。

さて、この構造を見て、きちんと薬物名まで正確に言えたら「たいしたもんだ!」って思います。魔理沙が薬物動態の教授だったら、それだけで単位あげてもいいんだぜ、って思っちゃうくらいです。もちろんそれができるに越したことはないんですが、ちょと、薬剤師国家試験受験生には「酷」というものでしょう。

では、この問題の出題者は、いったい何を受験生に要求しているのか?ということになります。ずばり、半分は有機化学ということですね。具体的に言えば、「P450の活性中心がヘム鉄であることを知っていたか?(ここは問題にも書いてある薬物動態の知識)」と「ヘム鉄と配位する化学構造はなにか?(これは有機化学の知識)」の二つです。最初の「問いかけ」は問題文中にすでに書いてあるので、実質的な質問は「P450の活性中心にあるヘム鉄と配位する化学構造をもつ化合物を選択肢の中から選べ。ただし、その化合物の名前までは解答する必要はない。」ということなのです。さあ、どうでしょうか?答えは「アゾール環」ですね。これは、窒素(N)を1つ以上含む複素五員環構造の化合物の総称ですが、問題文選択肢の中の化学構造では、「イミダゾール環」として選択肢1に出ています。これが答えで、「たったこれだけ!」なのです。

ちなみに、1番はケトコナゾール、2番はシタラビンで、ピリミジン骨格に五員環の糖が付いているピリミジンヌクレオシドがヒントになります。3番はドブラマイシンですが、これが何かわかる人は、「すごい!」ですよ。4番は、これは知っていてほしいところなんだけど、六員環が4つくっついた構造が特徴で「テトラサイクリン」です。テトラというのは「4つの」という意味ですね。5番も「知っていたらすごい!」という構造ですが、レボフロキサシンです。このような「化学構造式から薬物の名前を知る」方法は、実はあります。魔理沙の中にヒトである弊社CEOは使ったことはないのですが、化学構造式をきれいに描く「Chem draw Direct」というかなり専門的なアプリ(無料だそうです)を使って名前を知りたい化学物質の構造式を描いて入力すると、そのIUPAC名を教えてくれるというものだそうです。なので、それを使って知りたい化合物のIUPAC名を得て、次にMS BeingやGoogle BardのようなAIで一般名を知る、という手順になるかと思いますが、「薬剤師国試勉強」にそのような「手間」を取り入れるのは、あまり得策ではなく、あなたにとって「新しいお薬」に出くわしたときに、その構造式を手書きで書いてみる、というのが、もっとも現実的な勉強方法ではないでしょうか。

どうかな?わかったかな?


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