YouTubeショートで使った問題文スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にあるスライドは、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年3月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験への早割のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)
<この問題の突っ込んだ解説>
分布の文章題の問題だ。つまり、薬物の生体内分布の概論がわかっていますか?ということで、難しくはないはずだ。
順番に見ていくと、選択肢1では、毛細血管の構造3種をきちんと理解しているかが問われているね。構造3種とは「連続内皮構造(血液脳関門のように、内皮細胞が密接結合しているもの)」「有窓内皮構造(腎臓や小腸粘膜の血管のように、ちょうど「ガラス窓」のような穴あき構造が毛細血管内皮にあるもの。ただし、問題文にあるように、この「窓」には穴が開いていて、薬物のような低分子物質は自由にその穴を出入りできるというもの)」、それに「不連続内皮構造(文字通り、毛細血管の内皮細胞が連続的でない構造をとっている。イメージとしては「果物を包む網構造のスポンジクッション」を思い浮かべるとよい)」がある。この構造は肝臓、脾臓、骨髄の毛細血管がとる構造だ。なので、構造3種のイメージが頭に浮かぶかということと、そのような構造を持つ毛細血管が存在している臓器・組織は何か?がわかっていればよろしい、ということです。
選択肢2は、「分子量5,000」というずいぶん細かい数字が出てきている。この数字を境に低分子量の薬物が体内分布で使う系は、血管系か?リンパ管系か?ということだね。5,000という数字だが、きっちりこの数字が境になっているわけではないので注意してほしい。ま、わかっているとは思うけど。で、「リンパ管系を使った薬物の体内分布」では、①分子量が大体5,000よりも大きくて、②脂溶性が富んだ薬物、例えば天然物由来の抗がん剤などが、リンパ管系で分布するといわれている。なので、答えは×だ。
選択肢3番だが、2つの事柄を聞かれているね。一つはアルブミンの血漿内含有量で、これは「考えてわかる」という代物ではなく、知っていなければ話にならない。答えは4 g/dLで、問題文は正しい。2つ目の質問は「アルブミンと結合するのは、弱塩基性薬物でしたっけ?」ということで、間違いだね。アルブミンと結合するのは、弱酸性薬物なので、ここがおかしいのだ。なお、プロプラノロールやイミプラミン自体は塩基性薬物ということは押さえておこう。
4番は「プラバスタチン(スタチン系の高脂血症治療薬)が肝細胞内に取り込まれるときのトランスポーターは何ですか?と聞いている。これは覚えるしかないのだが、問題文の通りのOATP1B1(Organic anion transporting polypeptide 1B1)だ。SLC系のトランスポーターであることも重要だ。似たような問題が106回問170の選択肢3に出ているね。この問題は正文だよ。
5番だが、「血漿タンパク結合率が高い」ということは、この薬物の非結合分率は低いということで、血中から他の臓器・組織(含、乳汁)には移行しないよね。なので×。CBTの模試レベルの簡単な選択肢でした。
わかったかな?