YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年3月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験への早割のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)
<この問題の突っ込んだ解説>
定番のバイオアベイラビリティを求める公式の問題で、ちゃんとわかっている人には、問題文を「経口投与された薬物のバイオアベイラビリティを表す式」のところまで読んだだけですぐに2が正解だとわかるわけで、問題を読む時間3秒、マークを塗る時間2秒の、合計5秒で正解できる問題です。まあ、必須問題の出題としては妥当ではないでしょうか?
ということで、<突っ込んだ解説>ではありませんが、知識の「確認」をしておきましょう。経口投与のバイオアベイラビリティ(F)ですが、「投与した薬物のうち、どのくらいが体循環血中に薬理活性のある形で流入したかの割合」です。従って、急速静注時においてはF = 1となるわけですが、この問題は「経口投与」の話です。まず口から体内に入ったお薬は全てが吸収されるわけではないので、①消化管に吸収されるお薬、がでてきます。また代謝のところで話が出てくるように、消化管壁にはCYP(CYP3A4)が発現しているので、これによって代謝不活化されるものもありますが、いくらかのものは不活化を受けずに腸管系から吸収され、門脈の血流系に入るものがあります。③門脈血はそのまま肝臓に流入され、肝薬物代謝酵素で代謝を受けますが、それをすり抜けるものが出てきます。この最後の奴が、循環血中に「薬効をもった状態」で侵入するわけで、全投与量に対するその割合が「(量的)バイオアベイラビリティ(F)」となるわけですね。
従って、①消化管壁に吸収されるお薬の割合(Fa)、②消化管壁で(CYPによる)代謝を免れた割合(Fg)、③肝臓での薬物代謝酵素による代謝を受けなかった割合(Fh)、とパラメーターを設定すれば、Fa×Fg×Fhがバイオアベイラビリティーになることはすぐにわかります。
ということで、5択の選択肢を見るのですが、3番のFa×Fg×(1-Fh)を見てみましょう。もちろん間違いですが、この選択肢を「正解」にするには、どこをどう変えればよいのでしょうか?そうです、丸かっこの中のFhをEh(肝抽出率)に変えればよいのですね。おそらく、出題者は「引っ掛け」を狙ったつもりで出題したものだと思われますが、選択肢の2番には、「(まともに勉強したヒトなら)誰がどう見ても「正解」が出ている」ので、受験生は引っかからなかったようです。もし、この誤答選択肢が1番に出ていて、正答選択肢が5番であったら、よく読まないで引っかかる受験者が増えていたかもしれません。ちなみに、他の選択肢(1, 4, 5)はでたらめに作ったものでしょうね。
わかったかな?