本日の「ゆっくり国試(理論)問題(104回問42)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240316)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年3月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験への早割のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

一次性能動輸送担体とは、ATPの加水分解エネルギーを動力源として濃度勾配に逆らって基質を輸送するトランスポーターのことで、「国試レベル」では、P-糖タンパク質とその「御親戚筋」にあたるタンパク質「BCRP (Breast  Cancer Related Protein)」とか「MRP2 (Multi drug Related Protein 2)」が有名です。ということで、すぐに答えは2番とわかります。必須問題としては妥当な問題です。ただ、他の1~5の選択肢に出ているトランスポーターは、すべて「国試レベル」の知識として覚えておかなければならないトランスポーターなので、以下に整理しておきましょう。

1のグルコーストランスポーター(GLUT1)と、5のNa+/グルコース共輸送体(SGLT2)は「セット」にして理解しなければいけないトランスポーターです。どちらも名前に「グルコース」とあるように、輸送基質はグルコースです。また1のGLUT1は促進拡散型のトランスポーター、5のSGLT2は名前に「Na+/グルコース共輸送体」とあるように、Na+の濃度勾配と共役してグルコースを輸送する二次性能動輸送担体です。「国試レベル」で重要となる発現部位は、近位尿細管上皮細胞の側底膜側(血管側)に発現しているのがGLUT1で、上皮細胞内から毛細血管側にグルコースを輸送します。これに対して、近位尿細管上皮細胞の刷子縁膜側(尿細管側)に発現しているのがSGLT2で、これは尿中から上皮細胞内にグルコースを「汲み上げる」トランスポーターです。

3番の有機アニオントランスポーターOAT1も「尿細管分泌」過程に出てくるもので、尿細管上皮細胞内のジカルボン酸を側底膜と通して毛細血管側に輸送します。と同時に有機アニオンを血管側から尿細管上皮細胞内に輸送します。ペニシリンに代表されるβラクタム系抗生剤、プロベネシド、メトトレキセートなどが基質になります。

4番のH+/ペプチド共輸送体PEPT1は、名前の通りにプロトン(H+)とジペプチドを共輸送する二次性の動輸送担体で、小腸上皮細胞の刷子縁膜側に発現しています。「国試レベル」では「セファレキシン(セフェム系抗生剤)」の吸収に係るトランスポーターとして重要です。

一昔前までは「トランスポーターといえばP-糖タンパク質」みたいな時代がありましたが、今の学生さんはいろいろと頭に入れなければならないトランスポーターがあって、大変ですね。でも、頭に入れるしかないですね。

わかったかな?


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