本日の「ゆっくり国試(必須番外)問題(104回問14)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240328)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年3月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験への早割のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

物・化・生の生物から、真核細胞における染色体構造の非常に基本的な問題です。必須問題としては「暗記もん」ということではあるものの、妥当な問題でしょう。

ヒト染色体の構造を見る場合、構造生物学的な観点からでは「DNAはヒストンタンパク質に巻き付いて存在している」ということになります。ヒストンはH2A, H2B, H3, H4という4種類の「コアヒストンタンパク質」が、それぞれ2分子ずつDNAに巻き付き「8量体」を形成しています。1つのヒストン八量体は約146 bpのDNAを左巻きに約1.65回巻き付け、ヌクレオソームを構築します。これが、「クロマチン構造」の基本構成要素になっているわけです。他にも「リンカーヒストン」と呼ばれるヒストンタンパク質(ヒストンH1)が存在し、これはヌクレオソーム間のDNAに結合しています。これらのヒストンタンパク質は「強い塩基性のタンパク質」であり、酸性のDNAとの間の親和性は高いです。

また、「遺伝子発現」という面からヌクレオソームの機能を見ることもできます。ヒストンタンパク質は、アセチル化、リン酸化、メチル化、ユビキチン化のような化学修飾を受けますが、このような修飾が遺伝子発現のようなクロマチンの重要な機能につながっています。ヌクレオソームの位置は調節タンパク質のDNAへのアクセシビリティを決定します。特定の塩基配列(すなわち、遺伝子構造)のヌクレオソームが緩められることで、「露出されたDNA」に転写調整因子群が結合し遺伝子発現が行われます。この手の「絵」はそこらじゅうの教科書や参考書に必ず載っていますから、自分で調べてみてください。

必須問題レベルで知っておかなければならない、ヌクレオソーム関係の知識は、このぐらいでよいでしょう。

他の選択肢は全て「誤答」ですが、せっかくですからどういうものか、確認していきましょう。

  1. アクチン;真核生物の体を構成する細胞のすべてに存在するタンパク質で、らせん状の多量体を形作り「アクチンフィラメント」を形成しています。これは細胞の3事典的な立体構造を形作るものの一つです。また、「ミオシン」とともに、筋収縮を担う重要なタンパク質です。
  2. ケラチン;細胞骨格の一つである「中間系フィラメント」を構成するタンパク質であり、爪、毛髪、表皮などにも存在します。上皮細胞のシート構造は、ケラチン繊維によって機械的強度を保っています。
  3. コラーゲン;コラーゲンの最小単位は約20種のアミノ酸がつながったポリペプチドであるが、体内で最も多いⅠ型コラーゲンのα鎖は、分子量約10万のポリペプチドである。これが「コラーゲン細線維」を作り、さらにそれらがまとまって「コラーゲン線維」を作る。脊椎動物の真皮、じん帯、腱、軟骨などを計背している。
  4. チューブリン;細胞骨格の「微小管」や「中心体」を構成するタンパク質。分子量が約5万のα、β-チューブリンが1つづつ結合したチューブリンダイマー微小管のプロトフィラメントを構成し、これが10本程度集まって微小管になる。チューブリンの重合による微小管の形成にはGTPが関与する。

わかったかな?


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