本日の「ゆっくり国試(理論)問題(104回問164)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240407)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

長ったらしい文章題は注意して読まないと、真逆のことがもっともらしく書いてあったりして、詰まらないひっかけにあわないようにしたいものですね。そういう意味では選択肢1にある「・・・経細胞的に透過する」とか、2番にあるような「・・・濃度の比を上昇させる」というような、「わざわざ難しい言い回し」を使わなくてもよいと思いますが、この問題を出した先生は、何をお考えなのでしょうか?

さて、魔理沙が言うように、この問題では2つのことがちゃんとわかっているかどうかを聞いています。まずは、「血液脳関門の解剖学的な実体とその特性」です。脳内毛細血管においては、内皮細胞が密着結合しているために、薬物の透過(毛細血管の血液側から脳実質へ向かって)が厳密になっている、ということです。なので、「主に」単純拡散によって薬物は移行していきます。「細胞膜を挟んだ薬物の透過」ということになりますから、「脂溶性が強いこと」、「分子量が低分子であること」がポイントになることは、わざわざ指摘するまでもないでしょう。

ただし、例外的に「血液脳関門(BBB)」に発現していることがわかっている「トランスポーター」による輸送も存在することに注意しましょう。国家試験レベルでは2つのトランスポーターが頻出です。一つは4番の選択肢にある「P-糖タンパク質」です。ここら辺は基本中の基本です。つまり、単純拡散によって毛細血管側から脳実質側へ移行した薬物を、毛細血管側に「排泄」するために発現しているものですね。

次は、解説スライドの5番にあるLAT1(L-type Amino acid Transporter1)です。これは中性アミノ酸トランスポーターで、ロイシン、イソロイシンなど大型中性アミノ酸を、Na+非依存的に毛細血管内皮細胞で交換輸送するものですが、国試では「レボドパ」の脳実質への輸送に係るトランスポーターとして頻出です。ところが「ひっかけ」として、似たような名前の「カルビドパ」なるものがよく出てきます。これは、末梢でレボドパからドパミンへ代謝をおこなう「ドパ脱炭酸酵素」を阻害する阻害剤です。つまり、末梢血中におけるカルビドパの存在により、血中のレボドパ濃度が相対的に高くなるため、「血中のレボドパ濃度が高いまま維持され」、よって、脳実質に到達するレボドパ濃度を高くすることができるという代物です。従って、「カルビドパがLAT1により脳実質内に移行す」というところが間違えで、×となります。

答えは選択肢の1. と2.ですが、脳毛細血管内皮細胞を介した薬物輸送は主に単純拡散であるという、冒頭の説明から納得できると思います。3.は、問題文をちゃんと読めば間違えるはずのない「こけおどし」選択肢ですね。

わかったかな?


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