本日の「ゆっくり国試(理論)問題(104回問166)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240411)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

さて、「正しいのはどれか。2つ選べ」とあるから必須問題にはできなかったのでしょうが、難易度的には必須問題プラスαといったところの問題でしょう。この問題のポイントは2つ。まずは、代謝の「第Ⅰ相反応」が具体的にどういう反応を指すのかを知っているか?(これを知らなかったら、薬学生としては「もぐり」レベルでしょうね。)次は、与えられた構造式(名前が言えれば尚よし)の変化(→の右と左の構造式の変化)が、有機化学的に見てどんな反応か?がわかるか、ということです。

解説スライドを見てください。第Ⅰ相代謝反応とは「酸化、還元、加水分解」の3種ですが、解説スライドには少し細かい分類と代表例を書いてあります。ただし、スライドのスペースの関係で、構造式までは書けませんでしたから、自分でnetを調べるなりして具体的な反応を確認してください。あと。この手の問題(代謝における構造式変化の問題)は、「国試で出てくる薬物」が決まっています。なので勉強の仕方としては、大学で使っている教科書や予備校の参考書に出ている医薬品の構造式と代謝により構造式の変化は、「自分の手で描いて」覚えることです。「文字で覚える」のはやめた方がよいでしょう。学生さんが見たこともないような、医薬品の代謝反応による構造式の変化は、国家試験に出てくるとはないのです。従って、代謝の問題の過去問に出てきたような医薬品は、構造式で覚えることをお勧めします。

一般的な反応の概説は魔理沙の説明にゆだねるとして、この問題の選択肢を見ていきましょう。

1.左の構造式は、これは高校化学に出てくるもので「サリチル酸」であることは一目瞭然です。それが代謝によって六員環の「糖みたいな構造」が付いています。これが何かは知っていて欲しいところですが「グルクロン酸」です。つまりサリチル酸が「UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ」によってグルクロン酸抱合を受けたもの、ということになり、グルクロン酸抱合ですから「第Ⅱ相反応」ということで×。

2.左の構造式は薬理で出てくる「イソプレナリン」です。非選択的β作動薬で気管支喘息の治療なんかに使われます。それで構造式を見てみると、スルホニル基がくっついています。ということは、硫酸抱合を受けているわけで、係る酵素はスルホニルトランスフェラーゼになります。第Ⅱ相反応なので、×。

3.左の構造は「イソニアジド」です。抗結核薬としての第一選択薬で、この薬物の代謝酵素であるNAT2には遺伝子多型がある、なんてことは国試頻出です。さて、右側はまさしくこのNAT-2(N-acethyl transferase)による「アセチル化」を受けたものです。アセチル化は「アセチル抱合」反応のことを指し、これも第Ⅱ相反応になるので×。

4.親化合物が2つの化合物に分かれているところが「ヒント」になります。→の右側の最初の化合物は、これも高校化学に出てくるもので「p-アミノ安息香酸」ですね。2番目の化合物(ジメチルアミノエタノール)のアルコール性水酸基と、p-アミノ安息香酸のカルボキシル基が目に入りませんか?つまり、「加水分解」によって、親化合物は2つの子化合物に分解されているわけです。つまり「エステラーゼ」による加水分解(第Ⅰ相反応)が起こっているわけです。よって〇。

5.親化合物は「フェニトイン」で、さすがに高校化学では出てきませんが、薬学生としては覚えておかなければならない構造式の一つです。それで子化合物を見てみると、下のベンゼン環が「水酸化」を受けていることがすぐにわかります。よって第Ⅰ相反応(水酸化反応)ですから〇。ちなみにフェニトインの水酸化はCYP1A2によります。

わかったかな?


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