本日の「ゆっくり国試(理論)問題(104回問167)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240413)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

薬物相互作用の問題ですが、まあ細かいですね。しかし、いわゆる「お薬の飲み合わせ」として臨床では重要になる話なので、「理解したうえで暗記する」必要がある問題ばかりです。

1番の「アロプリノール」は痛風発作を抑える高尿酸血症治療薬です。メカニズムはキサンチンオキシダーゼの阻害で、これによって尿酸の生成を抑制します。そうなると、題意より「メルカプトプリンの代謝はどうなっているか?」ということが問題になります。メルカプトプリン(抗がん剤・免疫抑制剤)ですが、これはプリン塩基の生合成と代謝を抑制する作用があります。アロプリノロールをはじめとする「キサンチンオキシダーゼ阻害剤」との併用によって本剤の血中薬物濃度が上昇し本剤の抗がん剤としての副作用(骨髄抑制)が顕著に現れます。よって〇。

2番のリファンピシンですが、これは「核内レセプター」のPXR(Pregnane X Receptor)に結合することにより、CYP3A4の転写活性をあげるという「核内レセプター結合型」の薬物です。従って選択肢前半の「・・・CYP2D6を誘導するため・・・」というところが間違えているので、×。

3番のシスプラチンは、白金(Pt)原子が含まれている構造を持った抗がん剤で、比較的いろいろながんに対して使われています。ところが「腎毒性」が副作用としては有名で、それは「シスプラチンがどのトランスポーターの基質になるか?」で説明できます。すなわち、腎尿細管上皮細胞の血管側にはOCT2が発現していて、シスプラチンはこれにより血管側から上皮細胞に内に取り込まれます。シスプラチンの尿細管上皮細胞内から刷子縁膜側への輸送(尿細管腔への輸送)には、(実は教科書的には、なかなかまともな記載が見つからないのですが)、CCT2と約30%程度のホモロジーがあるOCTNファミリートランスポーターによるもので考えられています。つまり尿細管上皮細胞内から尿細管腔中へのシスプラチンの排泄は、OCT2の「御親戚筋にあたるトランスポーターによる」というわけです。一方、尿細管上皮細胞に内にある「ジゴキシン」は、何によって尿細管腔中へ排泄されるか?ということですが、国試レベルで「ジゴキシン、トランスポーター」ときたら「P-糖タンパク質」ですよね。現にP-糖タンパク質は腎尿細管上皮細胞の刷子縁膜側に発現しています。つまり、基質が違えば、トランスポーターも違うわけですから、「競合的阻害」はありえません。

4番のエリスロマイシンは「マクロライド系抗生剤」ですね。エリスロマイシンを含むマクロライド系抗生剤は、CYP3A4の活性を阻害するという性質があります(これは覚えていなければ話にならない)。よって、CYP3A4で代謝される他の薬剤との併用では、相互作用に注意する必要があります。ということで問題文中のカルバマゼピンは抗てんかん薬として有名ですが、CYP3A4によって代謝されます。よって、エリスロマイシンがCYP3A4の代謝活性を阻害すると、カルバマゼピンの血中濃度が上昇しますから、〇。

5番はアセトアミノフェンの痙攣作用誘発メカニズムについてですが、動態の相互作用の問題というよりは、中枢神経薬理の問題かな?という気がします。GABAA受容体は、中枢神経系において抑制性神経伝達を担当する受容体で、γ-アミノ酪酸(GABA)がそのリガンドです。GABAの結合により受容体が活性化されると、受容体は選択的にクロライドオンチャネル(Clイオンチャネル)を開講させることで神経細胞の過分極を引き起こします。従って、神経細胞の活動電位が生じなくなり、神経伝達が阻害されます。GABAの受容体結合を阻害することで中枢性の痙攣を誘発する薬物は、ノルフロキサシンやキノロン系抗生剤が知られています。さて、問題文にある「アセトアミノフェンがノルフロキサシンによるGABAA受容体結合を阻害するか?」ですが、そのような報告はありません。ただ、プロピオン酸系抗炎症薬(NSAIDsのフルルビプロフェン)が、ノルフロキサシンによるGABAA受容体結合阻害を増強することは知られているので、問題文中の「アセトアミノフェン」が間違っているわけですね。知っているか知らないか、という問題でした。

わかったかな?


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