本日の「ゆっくり国試(必須)問題(103回問41)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240419)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

胃内用排泄速度(GER:Gastric Empyting Rate)の問題です。まあ、「国試問題で「吸収」のところでGERの問題が出てきたら、選択肢見なくても(見なきゃだめですよ)答えは「リボフラビン」だ。」というくらい定番の問題です。ただ、「国試の必須問題で1問でも多く正解する」という観点からは、あまり細かいことをいっても仕方がないのですが、魔理沙の中のヒトの弊社CEOから見ると、ちょっと問題文に不備があるような気がします。「・・・吸収量が増大するのは・・・」と聞いていますが、この「吸収量」があやふやで「総吸収量」なのか?「単位時間当たりの吸収量」なのか?を明確にする必要があります。多分、「単位時間当たりの吸収量」すなわち「吸収速度」のことを聞いているはずです。一般的には「総吸収量」は変化しないので、「GERの変動によりその薬物の吸収速度が変化するものは?」というのが厳密な意味での正文になるはずです。

というのは、もうみなさんはすぐに答えがわかったかと思いますが、正解は5番のリボフラビンで、これは胃の幽門部(十二指腸側)に存在するRFVT3(SLC系のト促進拡散輸送体)によって吸収されます。トランスポーターによる輸送なので「飽和」が生じます。トランスポーターによる薬物輸送を数式として捉えた場合、これもみなさんよくご存じのMichelis-Menten式により記述され、またそれが「上に凸」の山形のグラフとなるわけですが、この時のMicheris-Menten式の左辺、すなわちグラフの縦軸の「次元」は、「基質の輸送速度」になっていますよね?言い換えれば「単位時間当たりの基質輸送量」になるのです。だから、この問題文では「・・・吸収量が増大する・・・」というのは正確な表現ではなく、「単位時間当たりの吸収量」もしくは「吸収速度」にしなければなりません。霊夢に言わせれば「あっちゃ~。やっちまったねぇ~」ということですが、誰もこのことには気が付かずに「問題不備による解なし」とはならなかったようです。

ということで、先に正解と解説を出してしまいましたが、他の選択肢もせっかくですから見ていきましょう。

1のアセトアミノフェン。小腸からのアセトアミノフェンの吸収は単純拡散であるといわれています。食事の影響で胃から腸管系への移行速度が低下するのですから、単純拡散による吸収量が増加することは、常識的にありえません。

2のエリスロマイシンはマクロライド系のタンパク質合成阻害を行う抗生剤です。胃酸に対して不安定な性質を持ち、このために腸溶剤が使われています。従って、GERが低下するわけですから、胃の中での分解が進み、腸管系からの吸収が増加することはありえません。

3のセファクロルですが、セフェム系抗生剤でやはり食事による吸収の影響を受ける薬物です。絶食時(GER大)に比べて食後(GER小)では吸収速度が小さくなり吸収の遅延が認められますが、AUCには変化はありません。よってこれも×。

4のリファンピシンも抗結核薬として有名な抗生剤です。空腹時に飲んだ方が吸収速度もAUCも食後に比べて大きいというデータが報告されています。よって×。

ということで、わかったかな?


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