YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)
<この問題の突っ込んだ解説>
吸収過程の「その他の部位からの吸収」で、経皮吸収の問題です。皮膚を介しての薬物の吸収ですから、皮膚の構造と機能がわかっていなければ話にならず、必須問題としては妥当な線でしょう。ただ、参考までに某予備校の正答率をみると1番の「皮脂腺」に〇をつけた人がそこそこいたみたいです。問題文冒頭の「親水性薬物」というところが「皮脂腺」の「脂」の文字に引っかかったのでしょうか?普通に問題文を読んでいれば、間違いようのない問題だと思います。
「皮膚の構造」の図解は、教科書や参考書には必ず載っているので、ここには載せませんが、自分で確認しておいてください。ここでは各選択肢の「ポイント」をかいつまんで解説します。
1.「皮脂腺」は読んで字のごとく「皮脂」を分泌する腺で毛根より表皮側に分布しています。真皮を構成する構造になります。要するに、「毛穴」の近くに分布しているわけなので、これが「親水性薬物吸収の障壁になる」とは、普通考えませんよね。
2.「真皮層」は、表皮最外層である角質層の下にある結合組織で構成されている層です。1番の皮脂腺をはじめ毛嚢などの組織をはじめ毛細血管や毛細リンパ管などが含まれています。熱傷で真皮まで組織が破壊されるとかなり重篤な状態になるわけです。余談ですが、「痛みを感じない火傷」は、真皮層の神経が破壊されているので、重篤な状態になるのです。表皮最外層である角質層を通り抜けた薬物は、真皮の中にある毛細血管や毛細リンパ管から吸収されることになります。なので、真皮は「障壁」とはなりません。
3.「毛嚢」毛根を包み込んでいる構造ですが、特別な解説はいらないでしょう。
4.「角質層」が正解になります。角化細胞で構成されており、約3週間といわれる皮膚のターンオーバー後は「垢」となって脱落していく層です。ここにはセラミドなどの脂質成分が豊富に存在するので、親水性薬物の経皮吸収ではバリアになるわけです。
5.「毛細血管」が間違いであることには、特別な解説はいらないと思いますが、出題者の立場から見ると、適当な誤答選択肢が思い浮かばなかったので、とりあえず入れておいた、みたいな選択肢で、論評には値しません。
ということで、答えは4番の「角質層」です。
わかったかな?