本日の「ゆっくり国試(理論)問題(103回問171)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240513)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

経口投与時の薬物併用における相互作用の問題で、「理屈を理解してから暗記する」類の問題です。動態以外にも薬物治療や実務の複合問題としても使えそうな問題ですね。各選択肢に2つずつ、10個の薬物が出てきていますが、それらの特徴を復習しながら見ていきましょう。

1.ノルフロキサシンはニューキノロン系の抗生剤でDNAジャイレースの活性阻害を機序とする広範な抗菌スペクトルを持つ抗生剤です。組織移行が良好で、ほとんどが未変化体として尿中に排泄されます。ニューキノロン系抗生剤の特徴は、2価、3価の金属カチオンと難溶性キレートを形成することですが、そうすると、併用薬物Bがそのような金属カチオンを含むかどうかがポイントになります。そこで「スクラルファート水和物」ですが、これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍に処方される「粘膜保護剤」で、ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩です。ということで3価のアルミニウムイオンを含むため、併用により金属キレートを形成し、吸収が低下することがあります。よって〇。

2.イトラコナゾールはアゾール系抗真菌薬で「飲む水虫のお薬」です。難溶性が知られている塩基性薬物です。一方併用薬のオメプラゾールは、proton pump inhibitor (PPI)として知られ、胃酸分泌抑制を目的とした十二指腸潰瘍治療薬、逆流性食道炎治療薬です。このようにオメプラゾールはPPIなので、服用により胃酸分泌は抑制され、胃内PHは相対的に上昇にアルカリ側に傾いてきます。すると、イトラコナゾールは塩基性医薬品なので、胃内での溶解性は低下し、もって消化管吸収は低下することになります。選択肢にある「肝取り込み・・・」は全く関係がないので×。

3.アセトアミノフェンは言わずと知れたNSAIDsですね。さて、併用薬のメトクロプラミドは何かというと、ドパミンD2受容体遮断薬で、ドーパミン神経による平滑筋収縮の抑制を解除し、消化管系の蠕動運動を促す「消化管機能改善薬」です。となると、併用により、アセトアミノフェンの消化管からの吸収が向上することになります。ということで、併用によりアセトアミノフェンの吸収効率が増大するわけですから、「尿細管分泌の阻害」は全く関係がありません。よって×。

4.メルカプトプリン水和物とありますが、抗がん剤としてのメルカプトプリンととらえて差しさわりはないでしょう。キサンチンオキシダーゼにより代謝を受け、6-チオイノシン1リン酸に変換され、最終的に6-チオグアニンヌクレオチドに代謝されます。一方、併用薬のフェブキソスタットですが、痛風治療薬として使われる尿酸生成阻害薬です。そのメカニズムはキサンチンオキシゲナーゼの選択的阻害になり、まさしく「代謝の阻害」に該当するわけです。よって〇。

5.ピタバスタチンは名前からもわかるようにスタチン系高脂血症治療薬ですね。具体的にはHMG-CoA還元酵素阻害薬して、肝臓でのコレステロール生成を阻害することで、血中コレステロールを低下させます。そのためには肝臓に入っていかなければなりませんが、肝取り込みトランスポーターである有機アニオントランスポーター(OATP1B1)の基質になるのです。一方、併用薬のシクロスポリン(免疫抑制剤)は、P-糖タンパク質の基質になることは有名すぎるくらい有名ですが、他にも、このOATP1B1を阻害することが知られています。つまりピタバスタチンは肝臓の中に入っていくことができず、よって血中濃度が上昇するわけです。なので「代謝の亢進」ではありません。×。

この手の問題は「知らなかったら話にならない」ので、実務実習にいっているときに、知らないお薬が出てきたら、その添付文書に必ず目を通して「薬物動態学的相互作用」を勉強する習慣を作るのが、「急がば廻れ」的な勉強法になるでしょう。

わかったかな?


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