本日の「ゆっくり国試(必須)問題(102回問42)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240521)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

時々「入試の不祥事」みたいなニュースが出てきます。例えば「漢字の書き取りの問題で、答えとなる漢字が試験室に貼ってあった注意書きの中にあった」というような話です。で、この問題を見た「魔理沙の中の弊社CEO」が最初に思ったのは「おや?!不祥事問題かい?」でした。だって、「ATPase」っていう答えが、選択肢1番に出ているじゃないですか!「え?、何のことをいっているのかわからない?」って思いましたか?もしそう思ったら、ちょっと勉強不足かも?しっかり「トランスポーター」の中の、一次性能動輸送担体とは何か、二次性能動輸送担体とは何か、を復習しておきましょう。ま、とはいってもですね、試験委員の偉い先生が苦労しておつくりになった問題ですから、「すっごいヒントを選択肢の中に入れておいてくれたんだ。だって必須問題だもん。」と考えることにしましょう。

さて、問題が問うているのは「イオン勾配を形成する」&「一次性能動輸送担体」は?ということですね。2つのことを問うていますが、「重きがある」のは「一次性能動輸送担体は?」ということです。一次性の動輸送担体とはなんでしたか?これは必須問題どころがCBTレベルの重要事項ですが、そうですね、「輸送の駆動力としてATPを加水分解した時に生じるエネルギーを使うトランスポーター」でした。この「ATPを加水分解する」のは、当然「酵素」なわけで、それは「ATPの加水分解酵素」すなわち「ATPase」なわけです。よって、正解は1番です。選択肢の中に「そのまんま」の名前が出ています。

では「イオン勾配を形成する」ということについて、選択肢1番はどうなのでしょうか?このトランスポーターの名前は「Na+,K+-ATPase」ですが、これは(細胞膜の内外で)Na+イオンとK+イオンをATPの加水分解エネルギーを使って交換輸送するトランスポーター、という意味です。まさしく、Na+, K+の両イオンについて、イオン勾配を形成するわけです。こうして作られたイオン勾配は、また他のトランスポーターの駆動力になるわけです。ちなみに、みなさんは知っているはずですが、P-糖タンパク質の駆動力もATPの加水分解エネルギーであり、その意味においては4番も「正解の候補」にはなりますが、P-糖タンパク質はイオン勾配を作りません。

とうことで、答えがわかったところで、他の選択肢にあるトランスポーターの性質も復習しておきましょう。

2.Na+/グルコース共輸送体(二次性能動輸送担体)。このトランスポーターは小腸上皮細胞の刷子縁膜側に発現しています。これは同じ細胞の側底膜側に発現しているNa+,K+-ATPaseが作り出したイオン濃度勾配をエネルギーとしてグルコースを小腸上皮細胞内に管腔側から取り込みます。グルコースは、同じく側底膜側に発現しているSGLT1, SGLT2(Na+グルコース共輸送体)によって血管側に排出されます。

3.Na+/H+交換輸送体(二次性能動輸送担体)。小腸上皮細胞の刷子縁膜側に発現していて、Na+とH+を交換輸送し、Na+, H+の濃度勾配を形成します。Na+の濃度勾配によってグルコースが輸送されますが、H+の濃度勾配は、それを駆動力とするH+/ペプチド共輸送体(二次性能動輸送担体)を動かし、読んで字のごとくジペプチド、トリペプチドを刷子縁膜側から細胞内に取り込みます。これらは、小腸上皮細胞の側底膜側に発現しているペプチドトランスポーター(PEPT1)によって、血管側に輸送されます。

ということで、答えは1番です。

わかったかな?


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