本日の「ゆっくり国試(必須)問題(102回問45)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240527)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

問題文の冒頭に「一般に、・・・」と断り書きがあるように、あくまでも一般的な話として理解し、問題に解答する必要があります。細かいことをいい出したら切りがないですからね。では、各選択肢について、「一般に」高齢者の体内では「若年者」に比べてどのような変化が起こっているのか考えてみましょう。

1.胃内容排泄速度ですが、これに影響を与える生理的な要因は、①胃酸分泌能(と、胃内pH)、②胃を含めた消化管血流量と消化管の運動、ぐらいでしょう。どちらかといえば、②の「消化管血流量と消化管の運動」の方が①の胃内pHより効果が大きいことは、常識的に考えられると思います。となると、食事の影響などは選択肢には書いてありませんから「常識的」に考えれば、ご老人では消化管運動の減少が考えられるので、胃内容排泄速度は「低下する」となり、答えは×です。

2.血漿中アルブミン量です。そもそも「アルブミン」は体の中のどこで作られるか知っていますか?答えは「肝臓」です。となると、はやり「常識的」に考えて、ご老人は体の中の臓器の「活動」」は弱くなっているでしょうから、作られるアルブミンの量も減ってきて、血漿中アルブミン量も減少する、というのが答えになります。実際の値を見てみると、30代男性の血漿中アルブミン量の平均は4.8 g/dLで、70代男性の血漿中アルブミン量の平均は4.3 g/dLとなっています。変動といっても、この程度の変動だということは、頭の片隅においておけばよいのではないでしょうか?

3.脂溶性薬物の体重当たりの分布容積ですが、「脂溶性薬物・・・分布容積」とあるので、脂溶性薬物の分布はどうなっているのか?を考えなければいけません。それで、脂溶性薬物ですから、当然脂肪組織に選択的に分布する。そうなると、「高齢者」の脂肪組織は若年者に比べてどうなっているのか?を考えなければいけません。ただ、「体重当たりの」と選択肢にあります。つまり、高齢者と若年者を比べて「体重に占める脂肪組織の相対的な割合」はどうなっているのか?を考えよ、ということなのです。そう考えて常識的に分かるのは「お肌の張り」ですね。つまり「高齢者は若年者に比べて、相対的に体内水分量が減少している」ということなのですね。だから「・・・体重当たり・・・」という文言が「みそ」になってきて、高齢者は若年者に比べ、「水分量の減少により、体重当たりの脂肪組織量が(見かけ上)増加している」ので、脂溶性薬物の体重当たりの分布容積は「増加する」のです。よって〇。

4.肝臓での薬物代謝活性ですが、厳密にいうと、肝重量当たりの、とかいろいろな条件を付けだしたら「解答不能」になる可能性のある危険な問題です。この「肝代謝酵素活性」ですが、「肝細胞1個当たりの代謝活性」という風にとらえれば、それは「変化しない」と考えられます。ただ、1番の問題にあったように、高齢者は一般的に言って消化管血流量は若年者よりも低下しますので、肝血流速度(Q)も低下します。なので、肝クリアランス(CLh)が、肝血流量依存型の薬物であれば、肝クリアランスも低下します。また、肝代謝能依存型の薬物であれば、肝クリアランスは、肝の薬物代謝活性(すなわち、肝固有クリアランス(CLint)になるので、高齢者の肝臓の平均重量は「常識的に考えれば」若年者のそれに比べて減っている(少なくとも増加はしていない)と考えられるので、この場合であっても肝クリアランスは低下します。なので、いずれにせよ、高齢者では若年者に比べて肝クリアランス(CLh)の低下は起こっています。しかし、問題の選択肢では「肝薬物代謝活性」となっているので、はて?これをどうとらえるかになります。なので、弊社CEOの見解では「肝細胞1個あたりで考えれば変化しないが、肝臓全体で考えると減少する」というのが答えかと思います。いずれにせよ「増加はしない」ので、答えとしては×です。

5.糸球体ろ過速度ですが、1番にあるように「消化管系の血流速度」の減少から、腎血漿流量も減少するでしょう。よって、糸球体ろ過速度も当然減少して、答えは×です。

常識的にわかる易しく必須問題としては妥当な問題です。

わかったかな?


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