本日の「ゆっくり国試(必須)問題(102回問46)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240529)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の問題文・解説スライド、および以下の<この問題の突っ込んだ解説>の解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年5月31日までの期間限定で「110回薬剤師国家試験に向けた「新学期応援フェア」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

また「いちゃもん」つけたくなる文言が出ている問題です。「TDM」を「治療薬物モニタリング」って言うんですか?まあ“Therapeutic Drug Monitering”をそのまま訳せば「治療薬物モニタリング」にはなりますが、薬物動態学で重要な(とても重要な)ことは、「血中薬物濃度のモニタリング」なのです。そもそも「治療薬物モニタリング」なんて日本語は意味が通じません。(少なくとも、魔理沙の中のヒトの弊社CEOには)。「薬物の何をモニタリングするんだい?」ということです。ただ残念なことに、このような訳語を使っている教科書は、実は少なからず存在しますが、Therapeutc Drugを「治療薬物」と訳すなら、そのあとに「濃度」という言葉をつけてもらいたいものだと思う次第です。

さて、問題のリード文もややこしいですよね。「患者のクレアチニンクリアランスに基づいて投与設計が行われる・・・」というのはどういうことか?「クレアチニンクリアランス」というのは「クレアチニンの糸球体ろ過速度」ですよね。ということは、まあ「ざっくり」いえば、これは「腎臓の状態」ということじゃないですか?その「腎臓の状態」を見ながらTDMを行う薬物は?と聞いているわけです。なので、この「まどろっこしい、ややこしい、リード文」は、「以下の薬物の中で、腎排泄型薬物はどれか?」と聞いている、ということなわけです。いやらしいですよね。わざわざこんな廻りくどい聞き方をするメリットって、何なのでしょうか?魔理沙の中のヒトの弊社CEOは、「物事は簡単に、わかりやすく」をモットーにしております。

ということで、選択肢の薬物を見ていきましょう。

1.テオフィリン。言わずとしてた気管支拡張薬(キサンチン誘導体)です。細胞内のcAMPの濃度上昇がきっかけとなって、気管支平滑筋の弛緩や利尿、心臓刺激などを引き起こしますが、脂溶性が高い肝代謝型の薬物で、TDMの対象薬物です。なので、TDM対象薬物であるが肝代謝型の薬物なので、×。

2.テイコプラニン。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に有効なグリコペプチド系抗生剤です。治療域が狭く、腎機能への影響が大きいためTDMが必要になる腎排泄型の薬物として知られています。よって〇。

3.セファレキシン。セフェム系抗生剤です。腎排泄型の抗生剤ですか、副作用リスクが小さいためTDMの対象にはなりません。よって×。

4.シンバスタチン。HMG-CoA還元酵素阻害薬として有名な高脂血症(高コレステロール血症)治療薬です。肝代謝型の薬物であり、クレアチニンクリアランスに基づいた投与設計とTDMは、通常行われません。

5.リドカイン。局麻であり、また抗不整脈薬でもあります。肝代謝型の薬物であり(肝血流量依存型薬物)、TDMは行われません。

以上より、答えは2番のテイコプラニンです。

わかったかな?


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