本日の「ゆっくり国試(必須)問題(101回問42)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240622)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年7月15日から8月30日までの期間限定で開講する「速習・薬物動態学5日間コース」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

みなさんは、こういう日本語ってどう思いますか?「弱塩基性薬物は乳汁中に移行しやすい」とか「弱酸性薬物は乳汁中に移行しやすい」とか、という「日本語」です。「移行する」わけですから、「どこからどこへ移行するんですかね?」って思いませんか?「どこへ」は「乳汁中へ」になるわけですが、「どこから」が書いてありませんよね。まあ、普通は「血液中」からということになるのでしょうが、なんでそういう「重要なこと」をわざわざ省略するのか??「ちみぃ~、そんなことはね、薬剤師になろうってものは、言われなくたってわかってあたりまえだよ!」ということなのか?何度も何度も弊社CEOがぼやくところではありますが、「国家試験」なんですから、きちんとした日本語の問題を作りましょうよ、ってことです。

さて、ボヤキの続きになりますが、「・・・移行しやすい」という文言よりは、「胆汁中に存在する弱酸性(塩基性)薬物は、乳汁中で濃縮される」というような文章にした方が「問題らしくて」自然だと思います。正解は3番になりますが、要は血漿のpHが7.4、乳汁のpHが6.6~6.8。よって、乳汁は血漿より相対的に酸性の環境になり、弱塩基性薬物は酸性環境下においては解離してイオン形になる傾向が強い。このようなイオン形分子は血管内皮細胞膜を透過することは困難になり、「乳汁中に濃縮される傾向が強くなる」というわけです。また、弱塩基性薬物が血漿中(pH 7.4)に存在した場合、ここは乳汁中pH(6.6~6.8)よりは相対的にアルカリ側であるため、弱塩基性薬物は「分子形」で存在していることになります。そうすると、「分子形薬物」は血管内皮細胞や乳腺内皮細胞の脂質二重膜を透過しやすくなり、血漿中から乳汁中に移行しやすくなる、というわけです。

従って、乳汁が血漿に比べて相対的に酸性側であるから、選択肢は3か4.あとは、上述したように「血液側から乳汁中に移行するのは分子形が有利」になるので、答えは3番ということになります。

ちなみに5択で問題を作るわけですから、どうしても選択肢5のような「この問題は苦し紛れに入れ込んだ選択肢だから選ばないでね」という選択肢が出てくるので、まあ、こういう選択肢を選ぶ人はいないと思いますが、選択肢の日本語が「はぁ~?何言ってんだ?」というような、みすぼらしい文章になっているとは思いませんか?

わかったかな?


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