YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年7月15日から8月30日までの期間限定で開講中の「速習・薬物動態学5日間コース」のお知らせ」を掲載しています。是非ご検討ください。)
<この問題の突っ込んだ解説>
TDMの特徴をいろいろ聞いている問題です。101回のこの問題以降では、同じく101回の問47, 102回問170、105回問174に同じTDMの問題が出ていますが、105回の問174では「TDMが必要となる薬物の特徴」を聞いているので、この問題をヒントに作ったのかもしれませんね。あとはぁ~、「治療薬物モニタリング」という術語がね、英語の直訳でも「大事なことは、血中薬物濃度のモニタリングの必要性」という本質が、この訳語では汲み取れませんよね。前にも言いましたが。どうなのかな?って思います。
TDMでは、一般的な注意事項(選択肢1,5など)の他に、「ピーク値」と「トラフ値」を測定する薬物の種類とその理由などを知っておかなければなりませんが、そんなにたくさんあるわけではないので、代表的なTDMが必要とされる薬物について、予備校の参考書などを見ながら、自分でまとめておくことをお勧めします。では、順番に選択肢を見ていきましょう。
1.一般的な血清中のジゴキシン濃度の測定には酵素免疫測定法(Enzyme Immuno Assay)や免疫蛍光測定法(Fluorescence Immunoassay)が使われます。ジゴキシン様免疫反応陽性物質(Endogenous Digoxin-like Immunoreactive Substances; EDLIS)というものが血中に存在しており、これがいわゆる「擬陽性」として引っかかってしまうことが知られています。由来には様々なものがあり、肝臓や腎臓由来のものもあれば妊婦由来のものもあるといわれています。なので、選択肢の文章は「〇」なのですが、ジゴキシンのTDMは方法によっては「擬陽性」を引き起こす物質があるということは、頭に入れておかなければいけません。
2.これも「知っているかどうか」というだけの問題です。アジスロマイシンはマクロライド系の抗生剤であり、一般的にはTDMを必要としない薬物です。また、選択肢文にある「第8脳神経障害」を引き起こすためにTDMが必要とされる薬物には、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシンなどのアミノグリコシド系抗生剤、バンコマイシン(グリコペプチド系)、シスプラチン、ループ利尿薬のフロセミドなどがあります。よって×。
3.テオフィリンはキサンチン誘導体のアルカロイドですが、よく知られているように、気管支喘息や慢性閉そく性肺疾患(COPD)などに使われています。また肝代謝型の薬物ですので、「患者のクレアチニンクリアランス」が投与量の指標になることはありません。よって×。
4.これは酷い選択肢で、よく読めば一発で×であることがわかるはずです。「血中薬物濃度」と「薬効・副作用」の間に相関があるからこそTDMが必要になるわけですね。
5.これもTDMの測定時には注意をしなければならない事項として有名です。カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールは、このような「血清分離剤への吸着」が知られているので、TDMの時には値が低くなる可能性があります。代替方法には、ヘパリン化採血管、EDTA採血管などを使用します。
ということで、わかったかな?