本日の「ゆっくり国試(必須)問題(100回問43)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240803)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年7月15日から8月30日までの期間限定で開講中の「速習・薬物動態学5日間コース」のお知らせ」を掲載しています。是非ご検討ください。

<この問題の突っ込んだ解説>

グルクロン酸抱合について、間違えているのを1つ選べという問題です。この問題を作った先生は、本気で問題を作ろうと思ったのか?という気がしますね。というのは、選択肢の1と3は、一体こりゃ何ですかね?っていう感じの選択肢ですね。「グルクロン酸抱合に関する記述について・・・」と言っていながら、「UDP-グルクロン酸転移酵素により触媒される」とか、「UDP-グルクロン酸が必要である」とか・・・「頓智クイズをやっているんじゃないんだから、ヒトをバカにしないでまともな問題を出してください。」ということです。それにね、正解は2番ですか「・・・のみに・・・」というのは、国試5択で「これが答えですよ(これは答えじゃないです)」という、受験生ならだれでも知っている話です。本当に酷い問題で、「問題が洗練されていない」です。国家試験の問題は、腹案として挙がってきた問題をチームでブラッシュアップするはずなのですが、誰も何も言わなかったのでしょうか?信じられません。

さて、「グルクロン酸抱合」は、抱合反応の中でも最も国試に出てくる反応です。その次に出てくるのはアセチル抱合と硫酸抱合、グルタチオン抱合、アミノ酸抱合(グリシン抱合)の順番でしょうか?軽くおさらいしますが、抱合反応は「第Ⅱ相反応」で、第Ⅰ相反応の「酸化・還元・加水分解」に続く「極性付与」の反応です。ただ、選択肢2にあるように、「第Ⅰ相反応を受けないと、第Ⅱ相反応が始まらない」と勘違いしているヒトがいますが、それではありません。いきなり抱合反応を受けるものがあります。フェノール性水酸基を有するような極性の高い薬物は、いきなり第Ⅱ相反応を受けることがあります。その意味から、正解(誤っている選択肢)は2番になります。

グルクロン酸抱合は、第Ⅱ相反応の中でも最も重要で、薬物の水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基にグルクロン酸を転移させる反応です。グルクロン酸抱合の基質として国試頻出な薬物に「モルヒネ」があります。3位と6位の水酸基がグルクロナイドになりますが、活性があるのは6位グルクロナイドです。このUDP-グルクロン酸転移酵素は、肝細胞のミクロソーム画分に存在しています。なので、5番は正解です。

アセチル抱合は、問題には関係ありませんが、何と言っても「イソニアジドのアセチル抱合」が国試頻出ですよね。芳香族一級アミン、ヒドラジン基、スルホンアミドを有する薬物に対して、アミノ基にアセチル基を転移させる反応です。この抱合反応の、もう一つの国試レベルでの重要点は「代謝物は親化合物より脂溶性が増加する」ということで、いわば、第Ⅱ相反応の「例外」ということで重要になります。

アミノ酸抱合は、アミノ酸の中でグリシン抱合が最も有名なので、別名「グリシン抱合」とも呼ばれています。サリチル酸、イブプロフェン、メトトレキサートがアミノ酸抱合を受けます。この反応には「アシル基転移反応」が2段階目に含まれる、2段階反応になります。

衛生化学の必須問題(101回問22)に類題が出ています。弊社HP「CEOのブログ」と「新着情報」のアーカイブ(2024年7月12日投稿分)に突っ込んだ解説をしていますので、是非参考にしてください。

わかったかな?


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