本日の「ゆっくり国試(必須)問題(100回問48)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240813)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年7月15日から8月30日までの期間限定で開講中の「速習・薬物動態学5日間コース」のお知らせ」を掲載しています。是非ご検討ください。

<この問題の突っ込んだ解説>

経口投与において、投与量(D)を増やしていったときに、血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)に非線形性がみられる(頭打ちになる)現象が起こった時の原因を答えよ、という問題です。非線形薬物動態において、AUCとDの間に何らかの関係式があるか?というと、ないですね。なので、選択肢にある条件を一つ一つ考えていった方がよいでしょう。なお、「線形条件」においては、当然のことながら、投与量とAUCは直線関係が成立します。ただし、経口投与ですから、AUCを変えるにはいろいろな「要因」が絡んできます。なので、「同時に2つ以上の要因が変化することは考えない」という「暗黙の条件」が必要になります。このことは問題文にはきちんと明記すべきでしょうが、「・・・最も適切なものはどれか。」とあるので、まあ、しゃあない、拡大解釈としてこの一文があるからよしとしてやろう、ということですかね?あまりスマートな問題文ではないような気がします。

  1. 「消化管吸収の飽和」では、投与量を直線的に増加させても「消化管から吸収される薬物量に頭打ち」が生じるということですから、当然AUCも頭打ちになるでしょう。よって、1は〇です。
  • 「消化管代謝の飽和」とは、消化管上皮細胞における薬物代謝酵素の活性が、投与薬物量が増えれば阻害されるということです。ということは「投与量の増大にともない、消化管から「代謝を受けずに吸収される薬物量」が増大します。よって、AUCは「増大していく」ことになるので、問題文のようなグラフにはなりません。×。
  • 「肝代謝の飽和」。経口投与量を増やしていくにしたがって、肝で代謝される薬物量が飽和してくる、ということです。だから、肝臓が全身循環に廻る薬物量は非線形的に増えてくるはずです。つまり、選択肢2.と同じことが、場所を肝臓に変えて起こるだけの話になるわけです。よって、AUCは増加するから×。
  • 「胆汁排泄の飽和」。これも冒頭に書いたように、「腎排泄はこの薬物の投与量増加に影響を受けない」とか、「この薬物は肝代謝によってのみ消失する」とかの但し書きが必要なはずです。ま、それは「大人の対応」として、許してあげて問題を見てみると、「胆汁排泄が飽和」するので、薬物は血中に留まることになるはずです。つまり投与量の増加に伴い、AUCは非線形に増加していきます。よって×。
  • 「腎排泄の飽和」。これも選択肢4と同じで、詰まるところは、投与量の増加に伴い「排泄過程」に飽和が起こるわけですから、薬物は体の中から消えていかないことになります。よってAUCは非線形的に増加します。×。

従って、答えは1番です。

わかったかな?


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