YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年9月1日から30日までの期間限定で「弊社設立1周年記念キャンペーン」のお知らせを掲載しています。是非ご検討ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
105回の問42を元ネタにした問題です(弊社HPの「CEOのブログ」と「新着情報」のアーカイブの2024年2月9日、YouTubeショートでは(https://youtube.com/shorts/3cXExEd6LA4?feature=share))。その時は「脳毛細血管の断面図」が「絵」として出ていましたが、この問題は小腸上皮細胞の模式図です。いずれも、P-糖タンパク質が発現している場所としては重要です。
さて、非常に基本的かつ重要なことですが、そもそもP-糖タンパク質とはどういうトランスポーターか?ということです。遺伝子名からの名前は「Multi Drug-Resistance Protein 1(MDR-1)」といい、「多剤耐性タンパク質」という名前がついていますが、この「多剤」というのは、発見された歴史的経緯から言えば「抗がん剤」を意味しています。もちろん、みなさんが勉強したように、P-糖タンパク質の基質として輸送される薬物はいろいろあって、他にも免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス)、カルシウム拮抗薬(ベラパミル、ニフェジピン)、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール)、抗ウイルス薬(リトナビル)などいろいろなものがあります。そして次に大切なことは、これらの基質を、ATPの加水分解で出たエネルギーを使って「排出的に」輸送するトランスポーターだということです。ここで「排出」というのは、文字通り「体の外に出す」ことを指しますが、105回問42では「脳毛細血管」を輪切りにした図(二重の同心円)が書かれています。真ん中には「血液」との文字が見て取れるものの、外側には何も書いてありません。ま、そうは言っても「脳毛細血管の輪切り」ですから、外側は「脳実質」ということでしょう。この状況下では「排出」というのは、「二重の同心円」で書かれている「血管内皮細胞」の内側から、血液側に向かって「(P-糖タンパク質の基質が)排出されること」になるわけです。ということでは、105回問42の「絵」の方が、この109回問42の「小腸上皮細胞の絵」より「不親切」でしょう。
さて、少し横道にそれて他の問題の解説をしてしまいましたが、「排出」というのは、「血小腸上皮細胞の細胞内に入っている「P-糖タンパク質の基質」を管腔側に輸送すること」なわけですから、一目瞭然で1番が正解となります。
ちなみに、③は吸収型のトランスポーターでSGLT1やPEPT1などでしょう。⑥はGLUT2で、⑤はNa+/K+-ATPaseか?と思います。②はNa+/H+逆輸送体でしょう。④はわかりません?こんなのあるかな?という感じです。
要するに、「P-糖タンパク質は、いらない基質を外に出す「排出型」トランスポーターで、1次性能動輸送担体だ」という、基本中の基本を知っていれば、十二分に答えられる問題です。
わかったかな?