YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年9月1日から30日までの期間限定で「弊社設立1周年記念キャンペーン」のお知らせを掲載しています。是非ご検討ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
真核細胞には核内とミトコンドリアに、それぞれ独自のDNAをもっている、というのは生物学では常識だと弊社CEOは思っていたのですが、某予備校の正答率を見ると8割に行っていないということで、これは単純に驚きです。昔と言っても1997年に「パラサイトイブ」というホラーの邦画が公開されましたが、この映画は瀬名秀明という人物の同名小説を原作にしているもので、1995年に日本ホラー小説大賞を受賞した小説だそうです。面白いことに、この原作者は東北大学薬学部卒業で、同大学院で博士課程を修了された方です。映画そのものは、いわゆる荒唐無稽のものらしいのですが(弊社CEOもTVで放映されたものを一度見た記憶がある)、このストーリーのモチーフになっているのが「ミトコンドリアは太古に真核細胞に寄生した原核細胞である」という、この問題の元になっている話です。まあ、着想は面白いと思いますがね。興味のある人は、原作なり映画なりを見てください。
さて、まじめな話に戻すと、解説スライドの赤字の部分が「内部共生説」といわれる、ミトコンドリア(植物では葉緑体)が真核細胞に寄生した、とする根拠です。あと、黒字の部分は、選択肢に出てきている細胞内小器官の解説で、このぐらいのことは「基礎の基礎」として覚えておきましょう。
なお、ミトコンドリアDNAに起因する先天性遺伝子疾患は、母系遺伝で伝わる特殊な疾患で、以下のような重篤な疾患が知られています。
- レーバー遺伝性視神経症:急性または亜急性に両岸の視力が急激に低下する疾患です。
- ミトコンドリア脳筋症:脳や筋肉に影響を及ぼす症候群です、筋力低下をはじめとして頭痛、麻痺のような脳卒中様エピソード、乳酸アシドーシスなどがあります。
- 慢性進行性外眼筋麻痺:外眼筋が徐々に麻痺し、眼瞼下垂や眼球運動障害を起こす疾患です。
- ミトコンドリアミオパチー:筋力低下、筋痛など、筋肉に特有の病変を起こします。
- カーン・セア病:慢性進行性外眼筋麻痺に似ていますが、さらに網膜色素変性や心伝導障害などを伴う重篤な疾患です。
これらは覚える必要はなく(薬剤師国家試験においては)、耳学問でよいですが、要はミトコンドリアDNAの先天異常は深刻な母系遺伝性疾患を引き起こすということを、頭の片隅においておけばよいと思います。
わかったかな?