YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


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(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年9月1日から30日までの期間限定で「弊社設立1周年記念キャンペーン」のお知らせを掲載しています。是非ご検討ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
問題文にある「核内受容体のリガンド」という言葉ですが、題意から考えると「何かのビタミンの前駆体があって、それが核内の受容体にくっついて、何かをする」ということですね。「核内受容体にリガンドがくっついて何かをする」その「何か」は、多分「遺伝子の転写」や「細胞分化・増殖」などでしょう。こんなことをする「ビタミンの前駆体」は何か?ということですが、これも知っていなければどうにもならない問題です。答えとなる「リガンド」は「レチノイン酸」です。これはビタミンA(レチノール)からレチナールに酸化され、その後さらに酸化されてレチノイン酸になります。これは細胞の中に入ると核に移動し、レチノイン酸受容体(Retinoic Acid Receptor; RAR)及びレチノイドX受容体(RXR)に結合します。これらの受容体は核内においてヘテロ二量体を形成し、DNAの特定の配列(RA応答エレメント;RARE)に結合します。その後、これらの複合体は遺伝子のプロモーターに結合し、転写を制御します。レチノイン酸がRARに結合すると受容体構造が変化し、コアクチベータータンパク質がリクルートされるなどの変化が起こりますが、その点は省略します。このように、レチノイン酸は「転写制御因子(核内受容体リガンド)」として機能しています。なお、選択肢4のレチノール(ビタミンA)は脂溶性ビタミン(A, D, E. K)の一つとして重要ですが、「核膜を通って核内に侵入する」という意味では、脂溶性でなければならないわけで、この点も重要になります。
選択肢に出ている他のビタミンも見ておきましょう。
1.ナイアシンは、水溶性ビタミンB3です。ナイアシンは体内で重要な役割を担う補酵素である、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)と、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)に変換されます。これらの補酵素は、エネルギー代謝、DNAの修復、酸化ストレスからの細胞の保護、などの効果があります。またこのビタミンンの欠乏症は有名なペラグラで、食品衛生化学でも重要です。従ってナイアシンは補酵素の前駆物質であり、×です。
2.ピリドキシンはビタミンB6で、体内でピリドキサールリン酸として機能し、アミノ酸代謝における補酵素として、セロトニン、ドーパミン、GABAなどの神経伝達物質の合成に重要です。他にもヘモグロビンの合成にも関係します。従って、はやり補酵素としての機能が重要であり、核内受容体との結合はありません。よって×。
3.パントテン酸はビタミンB5ですが、Co-enzyme A(補酵素A)の成分として機能し、エネルギー代謝(クエン酸経路(TCAサイクル)、脂肪酸の合成、酸化、ステロイドホルモンの合成などに関与します、またアセチル化反応にも関与しています。なので、これも×。
5.ビオチンはビタミンB7です。やはり補酵素として知られていてカルボキシラーゼ(ピルビン酸カルボキシラーゼ、アセチルCoAカルボキシラーゼ、プロピオニルCoAカルボキシラーゼなど)の補酵素として働きます。他にも、グルコース合成、、脂肪酸の合成及び分解、アミノ酸の異化に関与しています。よって×。
ということで、水溶性ビタミン類には補酵素として使われているものが多いという話ですね。わかったかな?