YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
まず最初にお詫びと訂正ですが、試験当日に出した(速報)109回薬剤師国家試験・薬物動態学(必須・理論)<突っ込んだ解説>の問174では、「正解が3と5」としましたが、「2と5」が正しいです。アザチオプリンは免疫抑制剤で、これの代謝に関わる酵素の遺伝子的ではチオプリンS-メチルトランスフェラーゼ(TPMT)とヌジックスハイドラーゼ(Nudix hydrase)15の遺伝子多型基づいた遺伝子診断が行われています。この酵素はDNA合成に関与するチオプリン系薬剤の代謝に重要な役割を持っているものです。特にアザチオプリンや6-メルカプトプリンのような薬剤に対して、これらの薬剤の無毒化に関係する酵素です。NUDT15には遺伝子多型があり、酵素の機能を低下させるDNA配列の変化も報告されています。ただ、これは結構「重箱の隅をつつく」問題で、弊社CEOのここで騙されました。反省です。
あと、選択肢2ですが、イミプラミンがCYP2D6と、CYP2C19/CYP1A2によって、2つの代謝物に変換される話は有名ですが、このうち、「活性代謝物」である「デシプラミン」が生じるのは、後者の酵素(CYP2C19/CYP1A2)によるものです。なので、問題文にある「CYP2D6のPMでは「活性代謝物」(つまり、CYP2C19/CYP1A2による「デシプラミン」の生成)の血中濃度が高くなる」というのは、「相対的にデシプラミン生成が多くなる」ということを意味しており、そのまま正解です。弊社CEOは「デシプラミン生成ルート」のことを考えておらず、ここは「完全にひっかかり」ました。大いに反省です。ま、その意味においては、この選択肢文章は「引っ掛け狙いの良問」と言えるかもしれません。
他の選択肢1は、少々問題文の日本語に意味不明な点が引っかかりはするものの、CYP2C19の遺伝子多型によってAUCは親化合物も、代謝物も両方とも変化します。
選択肢4は、教科書レベルの定番問題で×。選択肢5も、同じく定番問題で×です。上述したように、2番がしっかり〇とわかっていれば、あとの〇は5番になるので、3番が×とわかりますが、UGT1A1を出してきたところは、ひっかけを狙ったいやらしい問題ですね。
ということで、わかったかな?