本日の「ゆっくり国試(必須)問題(99回問41)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:241012)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡くださいまた弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。

<この問題の突っ込んだ解説>

必須問題としてはよい問題だと思いますよ。つまり「出来て当たり前、間違えたら幼稚園からやり直してください。」という意味での「地雷問題」ですが、必須問題というのはそういうものでしょう。ただ、5択の投与系の問題ですが、なぜ「直腸投与(肛門坐剤)」を選択肢に加えなかったのか不思議です。直腸下部からの吸収は初回通過効果を受けることはなく全身循環に廻りますが、直腸上部からの吸収だと、肝臓を先に通ってしまうからです。(上直腸静脈が直腸上部からの血液を集め、さらに下腸管膜静脈に合流し、そこから門脈を経由して肝臓に入って初回通過効果を受けます)弊社CEOがこの問題を出すとすれば、3番の経皮投与を抜いて、肛門投与を入れるかな?という感じでしょうか?

さて、順番に見ていくと、1番はさすがに間違える人はいないと思いますが、消化管から吸収された薬物は門脈を経由して肝臓に入ります。従って、肝初回通過効果を最も受けやすい投与経路です。

2番の舌下投与ですが、舌下の口腔粘膜を通して吸収されます。舌下の粘膜は薄く毛細血管が豊富に分布しているからです。次に薬剤は舌下静脈を介して上大静脈を経由し心臓に到達して、ここから全身循環に廻ります。なので肝初回通過効果は受けません。

3.経皮投与ですが、皮膚の上面は角質層です。ここを薬物が透過すると、次には細胞からなる表皮を通過しさらにその下の真皮に到達します。真皮は毛細血管が豊富に存在しているので、ここから薬物は全身循環に廻ります。なので、消化酵素による代謝や肝臓での初回通過効果を受けることはありません。

4.経肺吸収。肺胞から吸収される薬物は、まずは肺毛細血管に入ります。これは肺静脈から分岐している血管です。この後血流は心臓の左心房に入り、それから左心室へ入ってから大動脈を通って全身に送られます。なので肝初回通過効果は受けません。

5.経鼻投与。鼻粘膜に接触した薬物は粘膜上皮を通過して吸収されます。鼻腔の粘膜は毛細血管系が発達していて、薬物はここから血流に入ります。この後、薬物は局所的な血管ネットワーク(静脈叢)に入り、さらに大きな血管系である上大静脈に流れ込みます。上大静脈は心臓の右心房に血液を戻す主要な静脈です。次に血液は右心室に移動し、これから肺静脈を通して肺循環に入ります。この後、肺からガス交換を経て戻ってきた血液は心臓の左心房・左心室を経て全身循環に廻ることになりますので、肝初回通過効果は受けません。

ということで、答えは誰でもできる1番ですが、わかったかな?


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