YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
吸収過程の「薬物相互作用」の問題です。問題文にある「フェロジピン(ジヒドロピリジン系Ca2+ブロッカーの抗高血圧薬)」という名前と、の選択肢に並んでいる飲食物を見てみたら、ちゃんと勉強しているヒトなら一発で選択肢1番のグレープフルーツジュース」が正解だとわかりますね。じゃあ、「グレープフルーツ」そのものがいけないのですか?「ジュース」がいけないのですか?という疑問が生じますが、弊社CEOの知る限りでは、薬剤師国家試験問題では、判で押したように「グレープフルーツジュース」という「ジュース」が強調されている問題しか出ていません。こういうのを「お馬さんと、鹿さんの一つ覚え」というんですが、当然のことながら、グレープフルーツの食品成分であるフラノクマリン類が入っているので、どちらもいけません。ただ「ジュースに加工すると、成分が濃縮される」ために、「グレープフルーツジュース」はだめですよ、ということなんです。ちなみに、このフラノクマリン類は、ほかの柑橘系のなかにも含まれており、セビリアオレンジ、ポメロ、ライムの中にも含まれていますが、面白いことに、オレンジの中にはほとんど含まれていないため、オレンジジュースはOKなのです。
2番の「牛乳」が「吸収過程の相互作用」で出てきたら、「テトラサイクリン系抗生剤」とのキレート形成が条件反射的に頭に浮かんで欲しいものです。なお、この「キレート形成により吸収の阻害」は、牛乳中の2価、3価の金属カチオンによるものであって、従って、これらを含む制酸剤や、ニューキノロン抗生剤、ビスホスホネート剤とも金属キレートを形成し、吸収が低下します。
3番のコーヒーとはその中に含まれる「カフェイン(メチルキサンチン)」との相互作用を聞いていることに他なりませんが、解説スライドの3番にあるように、カフェインは、鉄剤、キノロン系抗生剤、MAO阻害薬、テオフィリン、アロプリノールなど、多種多様な薬物との相互作用を示します。アロプリノールは尿酸の生合成を行うキサンチンオキシダーゼの阻害薬ですが、併用によりカフェイン(メチルキサンチン)の代謝を行う「キサンチンオキシダーゼ」を阻害することで、カフェインの血中薬物濃度が上昇し、それによりカフェイン中毒の状態が出現します。
4番と5番にある「ブロッコリー」と「納豆」は、「ビタミンK高含有食品」であり、ワルファリンとの併用禁忌食品として国試頻出です。ワルファリンは抗血液凝固薬で有名です。ビタミンKは肝臓においていくつかの血液凝固因子(Ⅱ(プロトロンビン)、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ)の活性化に必要であり、これらの因子の活性化により血液凝固が起こります。これらの因子の活性化はビタミンKエポキシド還元酵素によりますが、ワルファリンはこの酵素を阻害することで、ビタミンKの活性化を防ぎ、その結果、ビタミンK依存性の血液凝固因子が十分に生成されなくなり、血液の凝固が抑制されます。これが、ワルファリンを常用している患者(血栓の形成を予防するための服用)が、ビタミンK含有食品を摂取してはいけない理由です。
ということで、答えは誰でもわかる1番の「グレープフルーツジュース」でした。
わかったかな?