本日の「ゆっくり国試(必須)問題(99回問47)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:241024)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡くださいまた弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。

<この問題の突っ込んだ解説>

また「治療薬物モニタリング」なる術語が「TDM」の訳語として出てきましたが、まあ、笑ってはしまうものの、毎回同じ突っこみを入れるのは控えましょう。さて、問題文の選択肢は抗生物質なので、まずはどんな抗生剤かを復習しておくことから始めなければいけません。

1.アンピシリン。これはβラクタム環をもつペニシリン系の抗生剤で、非常にポピュラーなものです。グラム陽性及び一部のグラム陰性菌に対して有効で、細胞壁合成阻害により抗菌作用を示します。βラクタマーゼを生産する一部の細菌は、薬剤耐性を持つことで知られています。また比較的広い治療域を持つため、TDMは行いません。

2.イミペネム。カルバペネム系に属する広域スペクトルの抗生剤で、βラクタム環を持っています。抗菌活性は強力で、グラム陽性、グラム陰性、及び一部の嫌気性菌に対して有効です。抗菌メカニズムは細胞壁合成阻害で、またβラクタマーゼに対して安定であるため、抗生物質耐性菌にも効果がある抗生剤です。このお薬は治療域が広いため通常はTDMを必要としませんが、腎機能が低下している患者にはTDMが考慮される場合があります。

3.エリスロマイシン。マクロライド系抗生物質で、タンパク質合成阻害を抗菌作用にしています。グラム陽性菌と一部の陰性菌に有効です。本剤の治療域は通常2~4μg/mL程度で通常TDMは行いません。胆汁を介して排出される肝代謝型の薬物です。腎排泄型ではないため、腎機能の低下した患者にも比較的安全に使用することができます。

4.テイコプラニン。この問題の正解です。グリコペプチド系の抗生剤で主にグラム陽性菌に有効です。特筆すべきはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などの多剤耐性菌に対して用いられることです。抗菌メカニズムは細胞壁合成阻害です。TDMが推奨される抗生剤であり、定常状態でのトラフ値が10~30μg/mLであることが推奨されています。腎排泄によって排泄され、ほとんどが未変化体として尿中に排泄されます。なので、腎機能が低下している患者には投与にあたっての注意が必要です。

5.セフジニル。「セフ」という名前からもわかるように、セフェム系第3世代の抗生剤です。主としてグラム陽性菌と一部のグラム陰性菌に対して効果があります。治療域が広いためにTDMは必要としません。腎排泄が排泄経路です。

ということで、この手の問題は「実務実習の時に、どれだけ積極的にお薬の知識を吸収するか」にすべてがかかってくる、というお話でした。

わかったかな?


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