本日の「ゆっくり国試(必須番外)問題(99回問15)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:241028)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡くださいまた弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。

<この問題の突っ込んだ解説>

物・化・生の生物から「サイトカイン」の問題です。まずは「サイトカイン」とは?という定義からですが、ちゃんと答えられますか?サイトカイン(cytokine)とは、免疫系の細胞が産生する分子量の小さいタンパク質で、免疫応答、炎症反応、細胞増殖、分化、細胞修復など、様々な生理過程に関係するものです。これは、通常、特定の刺激に応じて免疫系の細胞(T細胞、B細胞、マクロファージ、好中球など)によって分泌され、他の細胞に作用してその活動を調整します。代表的なサイトカインに、インターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、ケモカインがあります。ま、この問題も完全なる「暗記もん」ではありますが、いずれのサイトカインも基本的に重要なものばかりですね、覚えておかなければいけないものです。では、順番に。

1.インターフェロンα(interferon-α:IFN-α)。免疫系細胞がウイルス感染やその他の病原体に対する防御反応として産生するタンパク質です。主に、ウイルス感染に対する防御に関与しており、抗ウイルス、抗腫瘍、免疫調節の機能があります。インターフロンには、α、γ、δの3種がありますが、インターフェロンαはインターフェロンの中でも特に多くのサブ対応が存在し、白血球の中の好中球やマクロファージによって生産されます。機能には、抗ウイルス、抗腫瘍、免疫調節、があります。

2.インターロイキン2(interleukin-2:IL-2)。免疫系の機能において重要な役割を果たすサイトカインの一種です。特にT細胞(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞)の成長、分化、活性化に深く関与しています。IL-2は主にCD4+ヘルパーT細胞によって産生されます。IL-2の機能の主な機能は以下の通りです。まず、T細胞の増殖と分化があります。IL-2はT細胞の増殖を促進し、T細胞が活性化されると自己増殖のためにIL-2を分泌します。この過程は、感染や炎症に対する免疫応答を強化するために重要です。次にナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性化があります。IL-2によって活性化されたNK細胞は、ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃しやすくなります。次の機能は、制御性T細胞(Treg)の維持です。Treg細胞は免疫応答を抑制し、自己免疫疾患を防ぐ役割を果たします。またIL-2はがん細胞に対する免疫応答を強化する機能(抗腫瘍活性)を持っています。このような免疫調整効果から、IL-2は腎細胞がん、メラノーマの治療に応用されます。このようなことから、IL-2には抗ウイルス活性はありません。

3.エリスロポエチン(erythropoetin:EPO)。エリスロポエチンは、腎尿細管間質細胞から分泌されるサイトカインです。赤血球の生産を促進する機能を持っています。骨髄の肝細胞に対して赤血球前駆細胞の分化と増殖を促進します。これにより、赤血球の生産が増加し、赤血球の酸素運搬能力が増加します。エリスロポエチンの分泌は、腎臓の酸素センサーによって調整されている体内の酸素濃度の低下を検知し、エリスロポエチンの分泌が増加して赤血球の生成が促進され、組織への酸素供給が改善します。従って、医療用途としては、慢性腎臓病による貧血、がん患者の貧血、などに投与されます。一方、このようにエリスロポエチンは赤血球の数を増やすため、血液が粘稠になり血栓形成のリスクが高まります。さらには高血圧のリスクも高まります。このように、エリスロポエチンには抗ウイルス活性化はありません。

4.腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor-α:TNFα)。主にマクロファージなどの免疫細胞から分泌されるサイトカインで、炎症反応の調整、免疫応答の調整、細胞のアポトーシス誘導、抗腫瘍活性を機能として持っています。TNF-αの過剰な活動がリウマチ性関節炎や炎症性腸疾患などの原因となることから、抗TNF-α療法として、インフリキシマブ、エタネルセプトなどの抗体製剤が開発されています。このように、TNF-αには抗ウイルス活性はありません。

5.顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF)。骨髄で産生されるサイトカインで、顆粒球(主に好中球)の生産と機能を促進する役割があります。すなわち、骨髄の造血幹細胞に作用し、好中球前駆細胞の増殖と分化を促進します。これにより、血液中の好中球の数が増加し、感染に対する防御が強化されます。次にG-CSFは好中球の成熟を促し、未熟な好中球が効果的に機能するようにします。さらに、G-CSFは、好中球の感染部位に向かった遊走能を高め、さらに好中球の貪食能を向上させます。医療面においては、がん化学療法にともなう好中球減少症や、造血幹細胞移植、慢性特発性好中球減少症に適応があります。フィルグラスチムは重要なG-CSF製剤です。このように、G-CSFには抗ウイルス活性はありません。

ということで、答えは1番です。

わかったかな?


    PAGE TOP