YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。
(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
胃内容排泄速度の問題ですが、98回以降は103回問41と108回問42に「この手の問題」が出ています。103回は「胃内容排泄速度の低下によって吸収量が増加する薬物」を問うている問題ですが、108回問42はこの問題と真逆で、「胃内容排泄速度を低下させる薬物」を問うている問題です。典型的な暗記問題ですが、「胃内容排泄速度の上昇と低下が起こるメカニズムを理解しておきましょう。ほとんど薬理の「自律神経系の副交感神経系に作用する薬物」になりますね。
まず、胃内容排泄速度(GER)を上昇させる薬物ということですから、消化管運動を促進させるということです。ここは薬理の自律神経系の話になるわけですが、消化管運は副交感神経系優位になりますから、薬物としては副交感神経作動薬であるコリン作動薬や交感神経遮断薬になります。交感神経遮断薬は消化を抑制する作用があるわけです。なので、具体的な薬物として、ベタネコールのようなコリン作動薬が重要です。なお、ドパミン受容体(D2受容体)を遮断してアセチルコリンの放出を促進するドパミン拮抗薬(メトクロプラミド)も胃内容排泄を促進します(この問題の答え)。ここまでが、胃内容排泄速度に関する基本事項です。
それで選択肢を見ていくと、1.のアトロピンと3.のプロパンテリンは抗コリン薬で胃内容排泄速度を低下させます。これらは、ムスカリン受容体(M2とM3で、特にM3)を遮断し、副交感神経の作用が抑制されることで、胃内容排泄速度が低下します。2.のイミプラミンは三環系抗うつ薬で、抗コリン作用を持つためムスカリン受容体を遮断します。またα1受容体遮断作用もあります。これにより消化管平滑筋が弛緩することになります。加えて、イミプラミンにはセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用(SNRI)もあります。これらによってイミプラミンは胃内容排泄速度を低下させます。5.のモルヒネですが、これは中枢神経や消化管平滑筋に存在するオピオイドのμ受容体に作用します。これによって、消化管平滑筋の弛緩から蠕動運動の低下が起こり、胃内容排泄速度が低下するわけです。なので、正解は4番のメトクロプラミド、になります。
わかったかな?