本日の「ゆっくり国試(必須)問題(98回問49)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:241201)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡くださいまた弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。

<この問題の突っ込んだ解説>

この問題も薬物動態というよりは実務の問題のような気がします。まあ、それはともかく、プロドラックの定義はみなさん知っているかとは思いますが、「それ自体には薬理活性はないが、体内で様々な酵素反応により薬理活性を持つ薬物に変化する化合物」ということですね。なので、この問題も「考えればわかる」というものではなく、「知っていなければ話にならない」問題です。

さて、フルオロウラシル(5-FU)のプロドラックと言ったら、普通は「テガフール」が頭に浮かんで、次には「カペシタビン」が出てくるのではないでしょうか?いずれも経口投与可能で、体内でフルオロウラシルに代謝されます。他にもフルオロウラシルのプロドラックはあって、それが1番のドキシフルリジンです。これは体内でウリジンホスホリラーゼによりフルオロウラシルに代謝されますが、この酵素は腫瘍組織で活性化が高く、腫瘍内で選択的にフルオロウラシルが生成されることになるのです。よって答えは1番ですが、他の選択肢を見てみましょう。

2.エノシタビンは、名前から想像できるかもしれませんが、シタラビン(Ara-C)のプロドラックです。シタラビンは急性白血病やリンパ腫のような血液がんに対してよく使われますが、エノシタビンは持続時間を長くし、骨髄抑制のような副作用軽減のために開発されました。

3.シスプラチンは分子内に白金(Pt)原子を含む抗がん剤で、DNA合成阻害により抗がん作用を起こすものです。精巣がん、卵巣がん、膀胱かん、肺がんなど、多くの固形がんに対して有効な抗がん剤ですが、プロドラックではありません。×。

4.イリノテカンは、大腸がんを含む消化器がんに対してよく使われる抗がん剤です。ただ、プロドラックか?と言われると、まあ、しいて言えばそうかもね、ということでしょうが、投与されると腫瘍内や肝臓内でSN-38という化合物に代謝され、これが、トポイソメラーゼⅠを阻害することでDNAの転写、複製を妨げがん細胞の増殖を抑制します。プロドラックというより、活性代謝物に抗腫瘍活性が認められる抗がん剤です。この「イリノテカン」vs「SN-38」の組合せは、国試ではよく出てきます。

5.シクロフォスファミドは、4.のイリノテカン同様、P450による代謝物(ホスホラミドマスタード)がDNAをアルキル化して、血液がんをはじめ乳がんや卵巣がんなどに抗腫瘍活性を及ぼす抗がん剤です。抗がん剤以外にも、免疫抑制剤として自己免疫疾患にも使われます。なお、シクロフォスファミドの代謝産物である「アクロレイン」は、膀胱において出血性膀胱炎を引き起こすことが知れらているため、この出血性膀胱炎が、シクロフォスファミドの有名な副作用になっています。

わかったかな?


    PAGE TOP