YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


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(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、2024年10月1日から「学習法カウンセリング講座を始めました(新規開講授業に関するお知らせ)」を掲載しています。是非ご検討ください。
<この問題の突っ込んだ解説>
細菌の学名が出てきています。これらは「ラテン語」由来ですが、ありがたいことに、語学的な蘊蓄を無視すれば、概ね、学名はそのままローマ字読みすればよい、ということになります。しかし、それを「和名」に変換するには、覚えていなければ話にならない、ということです。Eschellichia coliは「スケッリシア コーライ」という発音になりますが、それが、和名では「大腸菌」となることは、「知らなかったら話にならない」ということです。
2番の「Salmonella enterica serovar Enteridis」がややこしいので、これを使って説明しましょう。斜体になっている部分の「Salmonella」は「属名」で、Salmonella属を意味します。「enterica」は「種名」で、ラテン語の「腸に関係する」という意味になります。国際命名規約では、属名と種名は必ずイタリック、もしくは、正字体での表記では、その下に下線を引くことになっています。続く「serovar Enteritidis」は、血清型を表します。血清型は細菌の亜種やサブタイプを表す分類の一つです。この場合「serovar」とは、英語の「serotype」にあたり「血清型名」の意味です。そのあとの「Enteriditis」が「腸に関連する」という意味を持つ血清型の固有名詞になります。この「serovar Enteridis」は、正字体で書かなければなりません。・・・というようなごちゃごちゃした決まりがあるのです。ちなみに、この細菌の和名は、昔は「ゲルトネル菌(ドイツの細菌学者に由来)」と言われていましたが、現在ではこの名前は使われずに「エンテリディティス型サルモネラ菌」と呼ばれることが一般的です。鶏卵由来の食中毒菌として有名ですが、感染型食中毒を引き起こす菌になります。
ちなみに「感染型食中毒」と「毒素型食中毒」の違いですが、前者は菌体が体内に取り込まれてそこで増殖した結果引き起こされる食中毒で、場合によっては毒素による発症も含まれます。毒素型食中毒は、病原菌が食品中で作り出した毒素をヒトが摂取することによって引き起こされる食中毒です。菌体が体内で増殖する必要は必ずしもないので、発症が速いという特徴があります。ここは大丈夫ですね?
さて、他の選択肢を見てみると、1番の「Clostridium perfringens」はウエルッシュ菌であり、芽胞形成細菌の嫌気性菌として有名です。肉料理が原因になることが多く、多量に調理されたカレーの残り物からの食中毒として、国試問題に出たことがあります。この細菌の和名は「ウェルッシュ菌」で、感染型食中毒を起こす細菌です。
3番の「Staphylococcus aureus」は、非常に有名な毒素型食中毒を起こす細菌で、和名は「黄色ブドウ球菌」というのは、基本中の基本です。ちなみに属名にある「coccus」というのは「球状の」という意味のラテン語です。
4番は、もう学名をそのまま読めば「ビブリオ」だということがわかります。「ビブリオ パラハエモリティカス」ですが、和名は「腸炎ビブリオ菌」です。これも有名な感染型食中毒細菌ですね。激しい下痢や腹痛を主徴とする疾患を引き起こします。軽症の場合は水分補給や休養で快復しますが、症状がひどい場合は輸液と抗生剤の点滴投与が必要になります。
5番も学名をそのまま読めば「カンピロバクター」だとわかります。グラム陰性の桿菌で微好気性菌です。通常は鶏肉や不適切に処理された鶏肉製品を摂取することで食中毒が発症します。カンピロバクター性の腸炎を引き起こし、1週間以上続く下痢や腹痛・発熱などがあります。
どうですか?わかったかな?