#2 吸収過程のモデル授業


薬物動態学Ⅰでは、薬物のADME(Absorbance:吸収、Distribution:分布、Metabolism:代謝、Excertion:排泄)の各過程を詳しく見ていくわけですが、最初の「吸収過程」の概観モデル授業です。改めて「薬物の吸収」って何でしょうか?スイカを食べたときに種を食べてしまった。この時「スイカの種は吸収された」とは言いませんよね。しかし、風邪薬を口から体の中に流し込んで一晩寝たら熱が下がった。この場合は「薬が吸収されて効いた」といいます。両者の違いは何でしょうか?そうですね。「体循環系に注目したものが入ったかどうか」が大きなポイントになります。風邪薬を構成している薬物の分子は、消化管系から「吸収されて」体循環系(つまり血液)の中に入るのですが、スイカの種は消化管から血液の中に入ることはありませんよね。明日の朝にうんちの中に入っているだけです。このような「吸収のメカニズム」を、生物学的知見に基づきミクロな視点から、時には数学を使って解き明かしていかなければならないのです。せっかく良いお薬をつくっても、何らかの理由でそのお薬が体循環の血液に入っていかなければ、元も子もありません。

体にお薬を投与する方法はいくつかありますが、最もポピュラーなものは「経口投与」でしょう。他にも、塗り薬や注射などがあります。この授業「#2吸収過程のモデル授業」では、経口投与に焦点を絞った時の「吸収のメカニズム」をお話しします。ということは、ミクロなレベルの話、つまり薬物分子が消化管(主として小腸)の中からどうやって血流に入っていくのか?その境界のところが最も重要な学問上の焦点となるのです。ご承知のように、消化管壁の内側の、食物やお薬が存在している部分(管腔側という)と接する細胞は、小腸上皮細胞といいます。細胞ですから細胞膜で覆われ、それは「脂質二重膜構造」をとっています。この部分を、医薬品分子はどうやって透過していくのか?が重要なポイントになります。平たく言えば「しみ込んでいくのか」、「なにかに連れて行ってもらうのか」ということです。そうですね。単純拡散か、担体介在性輸送かということになります。ここまでの話は、多分高校生にしても「イメージとしてはつかめる」ということになると思いますが、大学の薬学部ではここに「数学」がでてくるのですね。つまりFickの拡散の第一法則に支配される単純拡散の式とそのグラフ、ミカエリスメンテン式に支配される担体介在性輸送とそのグラフが出てきて、弊社CEOの経験では、ここら辺から「ついていけない人」が出てくるようになります。「ついていけない」理由は、「よくわからんけど、暗記しちゃえばいいや」という勉強をやっているからです。「本質の理解」をやらないと、理論問題の文章題が出てきたときには手が付けられないことになってしまいます。もちろん「暗記」しなければどうにもならないところはありますよ。「担体介在性輸送」に出てくるトランスポーターの輸送基質になる薬物などは、暗記しなければどうにもなりません。要は、どの科目でもそうですが、勉強するときには「しっかり理屈を理解する」勉強を行う項目と、「いろいろ言わないで丸暗記する」項目をきちんと区別しなければいけないのです。というような話を頭において、YouTubeのモデル授業を見てください。

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