#6 薬物動態学に出てくる微分の考え方のモデル授業


薬物動態学Ⅱ(薬物速度論)では、最初から微分方程式が出てきます。例えば、「急速静注」のところでは、「線形1-コンパートメントモデルを使った急速静注モデルでは、体循環コンパートメント中の薬物量を(X)、消失速度定数を(ke)とおくと、-dX/dt = keXの微分方程式が成り立ち、これを解くと、・・・」というような感じで書かれている教科書がほとんどです(弊社CEOが調べてみました)。これ、何のことを言っているのか、すぐ理解できて先に教科書を読み進められることができる人は、すごいと思いますよ。じゃあ、大学の授業でこの数行に書かれている内容を詳しく講義してくれるかと言ったら、はっきり言ってそういう授業をしてくれる教授はあまりいないんじゃないかな?その理由は、「時間がなくて、そこまでやっていたらとても半期15回の授業で教科書一冊終わらない」からなのです。なので「高校数学でやったよね?」という暗黙の了解のもとに、どんどん授業は進んでいってしまいます。弊社CROは、個人の考えですが、薬物動態学Ⅰ(ADME)、薬物動態学Ⅱ(薬物速度論)はともに1年(30回の講義)を掛けて勉強してもよいのではないか?と思っています。では、みなさんは薬物動態学Ⅱ(薬物速度論)に出てくる、微分・積分(実は、他にも対数と非線形理論、確率・統計も出てくるのですが)でつまずきそうになったら、どうすればよいのでしょうか?答えは、当たり前のことですが、予習をきちんと行い、講義の最中で分からないところが出てきたら、それをすぐ教授に質問することです。そして、復習もしっかり行う。東京の文京区は本郷三丁目にある、日本で一番偏差値が高いと誰もが認めている某大学の法学部を首席で卒業し、在学中に司法試験に合格して、財務省官僚をやっていた女性がおられます。彼女の書いた本を弊社CEOは買って読みましたが、「1冊の教科書は、最低7周勉強しろ」と書いてありました。同感です。ただ、みなさんは薬物動態学以外にも多くの科目を勉強しなければならないので、そうそう時間が豊富に使えるわけではないでしょう。なので、7回とは言いませんが、最低3回は教科書、教授が配るプリントを勉強しましょう。微積の公式がわからなかったら、本屋に行って高校数学の参考書を広げてみましょう。それでも、どうしてもわからない、という人は、毎度宣伝になってしまって恐縮ですが、お金を払って弊社の授業を受けてください。かならず「あ、なるほど、そういうことだったのか!」という気持ちになっていただけると確信しています。

さて、このモデル授業「薬物動態学に出てくる微分の考え方モデル授業」は、主眼を高校数学の「微分とは」に置いています。その例に「カーナビ」を使って説明しています。しかし、今のカーナビとは違って、世界で初めて作られたカーナビの話です。それは実は1981年に「ホンダ」の「アコード」にオプションで付けれた「エレクトロジャイロケーター」という画期的なカーナビで、現在の人工衛星からの電波を受けて自分の位置を知るタイプのものとは全く違っていました(そもそも、その当時にはカーナビ衛星はありませんでした)。車に高精度の「加速度計」を積んでおきます。そこで得られた「加速度」を積分すると「速度」になります。さらにそれを積分して「距離」を得ていたのです。逆に「距離」を微分すれば「速度」を得ることができるのです。「なるほど。でも、そんな話が薬物動態とどう関係するんだい?」と思うのはもっともです。上では「距離」という「物理量」を例にお話ししました。さすがに「距離」は薬物動態学Ⅱでは出てきません。その代わり「薬物量(mgとかμgなど)という物理量」が出てきます。この「薬物量」を時間で微分する、すなわち、単位時間当たりの薬物量の変化率、というものが、薬物動態学Ⅱでは、いたるところに出てくるのです。これをYouTube動画の中では「クリアランス」を例にとって説明します。

というようなことで、正直なところ、簡単な勉強ではありません。でも、「アレルギー反応」を起こしそうになるのをぐっとこらえて勉強してもらうと、大変面白い世界が見えてくると思います。

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