本日の「ゆっくり国試(必須)問題(101回問47)」のゆっくりショート解説(YouTubeショート:240702)


YouTubeショートで使った問題文と解説スライドは以下です。


なお「ゆっくり魔理沙と霊夢」の声は、AquesTalkのライセンスID:AQALCNTUSR01202371によります。

(YouTubeショート動画の解説スライドおよび<この問題の突っ込んだ解説>にある解説は、薬学部の現役学生の方、次回の薬剤師国家試験を受験される予定の方はダウンロードしてお使いになっていただいて構いません。なお、大学教育関係者の方、薬剤師国家試験受験予備校関係者の方でスライドのダウンロードご希望の方は、本HPの「お問い合わせホーム」から弊社宛、事前にご連絡ください。また弊社HPトップページには、本年7月15日から8月30日までの期間限定で開講する「速習・薬物動態学5日間コース」のお知らせ」を掲載しました。是非ご検討ください。)

<この問題の突っ込んだ解説>

TDMの問題で、トラフ値とピーク値を測ることが推奨されている薬物を選びなさい、という問題ですね。動態というよりは実務の問題にした方がよいような問題です。実務実習で経験した学生さんには、非常に有利になる問題です。なお、タクロリムスのTDMの特徴に関する問題が、1年後の102回問170に出題されていますが、この問題の選択肢2にタクロリムスがあるので、まあ、何かしらの「影響」で、102回問170が作られたかもしれませんね。

1.ゲンタマイシンは濃度依存的な作用を示すアミノグリコシド系抗生剤で、ピーク値は15~25μg/mLとされています。これ以上では副作用の腎毒性が発現します。またゲンタマイシンのトラフ値は2~3μg/mLとされていますが、トラフ値は血中薬物濃度が薬理作用が発揮される最低限の値を下回らないために設定されています。

2.タクロリムス。これは免疫抑制剤なので、TDMを必要とする薬物ですが、102回の問170にもあるように「全血採血をする薬物」であって、腎障害の副作用がある薬物であること、トラフ値は20μg/mL以下が推奨されている、という点が重要です。またタクロリムスにはピーク値が設定されていません。これは主たる用途が免疫抑制剤である、患者ごとにタクロリムスを必要とする容態が異なるためです。また、副作用が腎毒性であることもあり、容態が異なる患者に対して一律にピーク値を設定するのは適切ではないからです。なので×。

3.フェノバルビタールもトラフ値のみが設定されている薬物で、10~30μg/mL程度です。抗てんかん薬としての特性と患者各々の容態から、タクロリムスと同じ理由でピーク値を一律に設定することはしません。

4.ジゴキシンは、言わずと知れた強心剤でTDMを必要とする(血中薬物濃度を測定するという意味で)薬物です。ただし、ジゴキシンがなぜTDMが必要とされるかは、「治療域が狭い」からに他なりません。ところが「ピーク値の測定は不要」とされています。「有効血中薬物濃度が決まっているのだから、上限のピーク値と下限のトラフ値が決まっているはずだ」としてしまうと、引っかかってしまう問題です。現に、某予備校の解答は間違えていますし、某予備校の解説では、ジゴキシンを排除する理由が書かれていませんですね。

5.リドカインは、タクロリムス、フェノバルビタール、ジゴキシン、と同様に、ピーク値の測定を必要としていません。

知っているかどうかだけの(とはいっても、実務では重要なことばかりですが)「あまり面白みのない(弊社CEOの個人の感想です)問題」でした。

わかったかな?


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